省資源―低価格―需要の増大―資源不足の連鎖
これまで省エネのリバウンドについて述べて来たが、他の資源でも同じ事が起きる。
■米国の乾燥地帯に於ける水資源利用の効率アップについてはファクター4で紹介したが、効率向上によってより多くの土地が利用可能となった為にそれまで価値の無かった乾燥地帯の土地に買い手が付き、開発が進められた為に更に水資源が必要となるリバウンド現象が起きた。
■従来通信の伝達には銅線が使われていたが、グラスファイバーに依る光通信が開発された事で銅の需要は著しく減少し銅価格は大幅安となった。値下がりした銅は開発途上国での新たな銅需要を呼び起こした為に銅需要のリバウンドが起きている。
■農地使用の効率改善は1950年代から盛んに行われた結果EUにあっては農産物が過剰生産となった為に休耕促進の為に補助金が支払われるようになった。人口の増加、食肉の消費増加、農地の宅地化、バイオマス燃料の栽培等に依り土地が不足し、食糧危機を招く程のリバウンドが起きている。
■初期の携帯可能電話は1台数キロの重量が有り、価格は数十万もした為その使用者は警察とか大企業の役員などに限られていた。これが25年後の現在は数10グラムの軽さとポケットに入る大きさとなり使用される資源の量は1/100以下となった。しかし、小さく、軽く、何よりも安くなった事で一般に使われるようになり市場規模が数10万倍となった。その為に現在携帯電話に使用される資源の量は25年前に較べ1000倍となった。これも典型的なリバウンド効果である。(写真はNTTのショルダー電話)
このように省資源の為の開発が成功すると、必ずリバウンドが起きている。これからはリバウンド対策も考慮した省エネや省資源の開発を行う必要がある。
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