私たちのエネルギーに対する評価は低すぎる
2011年6月14日のラジオフュレトン(Radio Feuilleton)でのフォン・ヴァイツゼッカー教授のインタビューから。
現在、私たちが使っているエネルギーがどれ程無駄に使われているのかを考える為には、エネルギーの持つ本当の力(仕事量)を知る必要があります。その為に私は時々、私の学生に質問をします。「例えばここに10kgの水の入ったバケツが有るとする。これを海面の高さからエベレスト山の頂上まで持ち上げるとしたら何キロワット時の電力エネルギーを必要とするか、計算してみなさい。」
そうすると、彼らは携帯電話を電卓にして暫く叩いた後、だいたい100〜1000キロワット時の間の数を答えとして返してきます。
この問題の正しい物理学的解答は0.25kWHです。1キロワットアワーと言うエネルギーのできる仕事量と言うのはこんなにも巨大なものなのです。
ここで、重要なのは、日常使っている道具や機械が行ってくれている仕事量がそれらが使用する電力や燃料の量に対して余りにも少ない事に慣れ切ってしまっていると言う事です。つまり、余りにも非効率な機械や道具しか使って来なかったからそのような感覚しか持ちえないのです。恐らく先ほどの学生の中には正確に物理の法則を覚えていて計算をして0.25を得た人もいた事でしょう、しかし彼の常識がその答えを誤ったものに導いてしまったのでしょう。
0.25kWHと言うと電気代では約10円です。我々には10円で10kgの荷物をエベレストの山頂に運ぶ等とは夢にも想像できないのです。
ここにエネルギー問題の本質が隠されています。(一部ブログ管理人が説明の為に加筆しました。)
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