消費税を上げるのにやっとの日本政府には環境税は高根の花
7月1日からオーストラリアは炭素税(環境税)が決定され、ギラ―ド首相は産業界からも国民からも不満の声が多く、政治生命まで危ぶまれているが、その勇気に拍手を送りたい。先日、すったもんだの揚句の果にやっと消費税増税が1年半先に実施される事になった日本には、環境税を担ぎ出す勇気のある役人も政治家もいないであろうが、地球環境の為、持続可能社会建設の為には必要な税である。
エネルギーを使用する、CO2を排出する、他の理由で地球環境を傷めるものには環境税を課す政治的決断が必要である。
OECD諸国では既に環境保護を目的とした課税制度が各国ともに存在する。殆どの国でSO2等有毒物質を排出する企業に課税することから始まった課税制度や、排水、産業廃棄物に対する課税制度がある。国によっては原材料、淡水使用あるいはフィラメント電球使用に対する課税もある。排水税は下水処理施設の整備に充てられる場合が多い。
燃料税は昔、自動車がまだぜいたく品であった頃に始められたもので、道路建設や整備に充てられている。環境保護を目的にした環境税は1990年代から始っている。
図はOECD諸国の環境税を表している。アメリカ、カナダ、メキシコが1%代からスカンジナビア、オランダ、トルコが3〜4%である。
環境税は、環境保護の財源となることも重要であるが、課税される分野の企業による環境対策が促進される効果が大きい。ドイツが排水に課税を決めたのは1976年で実際に課税が開始されたのは1980年からとなっていたが、この間に企業は排水を出さない対策を講じ実際に課税対象となったのは僅かであった。これは財務省をがっかりさせたが、その為に設備投資が発生し経済産業省は喜び、環境にとっても良い結果となった。これは環境税のありかたに示唆を与えるものである。
環境改革税とも言える光源を省エネ光源に転換する事を推進する目的で、デンマーク、ラトビア、リトアニアとスロバキアが導入した電球税は画期的であるが、その他の国に目立った動きが無いのは残念なことである。
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