重要な政治的枠組み、それより重要な賢い国民
グリーン経済への移行を勇敢に始めた企業、例えばトヨタは1997年にハイブリッド生産を始め、フィリップスは2007年に同社の製品の光源を全てLEDにすると宣言していずれも大成功を収めている。しかし、これらのパイオニアたちが成功した背景には、原油価格の高止まり、2003年の金属材料価格の高騰、2004年頃から各国で始まった環境政策の改革などの周辺条件が大いに貢献している。
周辺条件には全く影響されずに成長を遂げた、携帯電話やインターネットのように、従来は存在すらしなかった新しい市場が生み出され、消費者も生産者も利益を感じるような革命的な産業分野とは異なる。
その為、グリーン経済への移行は、政治的、心理的、経済的なあらゆる角度を考慮した政治的な枠組みが重要になる。
経済政策的にはグリーン経済への移行は、ファクター5で記述している70〜80%もの大幅な省エネ・省資源を行う事で大幅な産業構造の変化が予想されるが、可能な限りシームレス(つなぎ目なし)で行われなければならない。蓄積された社会資本や設備投資が廃棄されるような事は極力避けるような施策が必要である。また、グリーン経済への移行の為の新たな資本投資も推進する必要がある。
重要な事はしっかりした政治的な枠組みをつくる事で、今後も発生するであろう大きな周辺条件の変化にも止まることのないグリーン経済への移行を担保することである。
過去に起きたリーマンショックでは、世界の経済人、技術者、マーケティングの専門家、投資家、政治家、マスメディアがこぞって茫然自失となり、方向を見失ってしまった。
グリーン経済への移行を、間断なく進める為には、政策も重要だがそれよりも、環境問題を十分に理解した、賢い消費者の力が最も必要とされる。
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