ファクター5が主張する資源価格の上昇とは異なる
昨日(9月1日)から電気料金が値上げになった。ファクターファイブでは資源の価格は安すぎるので、法律で定めてでも上げる方向に進める事は望ましいことであるとしている。但し、ファクター5の主張はまず、ある分野における省エネが成功して一年で10%の節約ができたとして、翌年にその分野の資源の価格を10%値上げすることで、消費者にとっては同一サービスを得るために掛る金額は同じと言うことになり、追加の負担は発生しない。これは「リバウンド効果」を防ぐのが目的である。
日本の電力料金の場合は少し事情が違う。今回の値上げの問題の本質は電力料金の設定方法にある。電力業界の値上げの理由は、これまで原発の電力製造原価は低かったが、3.11以降原発が使えなくなったので、石油と石炭の輸入コストが嵩んで原価を押しあげたとしている。ここには問題が2つある。一つ目は原発のコストが安いとしている嘘である。原発原価には使用済み核燃料の処理費用が含まれておらず、これを加えると石油よりも高くなる。2つ目は、消費者が節電をして電力使用量が減る事は、電力料金の値上げになる料金体系である。
現在の法律では電力会社は発生した製造原価に管理経費と会社の利益を加えたものをすべて料金に転嫁できるようになっているシステムだからだ。もし、これから、消費者が、どんどん省エネをして平均で20%の電力使用が下がるとする、そうすると電力会社の売り上げが20%下がる、普通の企業で有れば売り上げが下がれば、規模を縮小し、人員を減らしてコストを下げて対応する。電力会社は法律で守られていてそれをする必要が無い、売上が下がれば、料金単価を上げれば良いのである。ファクター5が主張する資源価値を継続して上げ続けるのは決して電力業界を守るのが目的では無い。欧州では20年も前から電力は自由化になっており、電力会社は熾烈な競争下にあるので日本のような事が起きるようなことには考慮されていない。
日本の電力業界は、発電と送電の切り離しと販売の自由化を進めて競争状態を作る事が必要である。自由化すると停電が起きるなどと言う事言う人が居るが、アメリカ西海岸で自由化された直後に起きた事を取り上げて未だにそれを理由にしているだけで、その後はどこにも自由化した事による停電は起きていない。
これまで、豊満な経営に甘んじて、安全対策すら怠っている電力村の既得権益を守る必要は全く無い。
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