NYの歴史的建造物がグリーン化改築途中ですでに省エネ効果を発表
1931年竣工のニューヨーク、エンパイアステートビルは2011年5月に竣工80周年事業としてはじめられた総額5億5千万ドル大改築の内、1億2千万ドル(91億円)はグリーンビル化費用として計上されている。
改築開始後1年が経った本年、既にビル全体で5%の省エネとなり、240万ドル(1億8千万円)の電力料金が節約されたと発表している。
このグリーンビル化改築はニューヨーク市のモデルケースとして、クリントン環境イニシアティブが推進するC40(世界の58の大都市が加盟して持続可能性都市への改革を行っており、日本からは東京と横浜が加盟している。2012/6/21のブログ参照)が目標としている2020年までに2億5千万トンとCO2を削減する一環である。
エンパイアステートビルの改築が完成すると、年間440万ドル(3億3千万円)のエネルギー料金が節約される。これは38%の省エネであり、10万5千トンのCO2の削減になる。
ビルの6500の窓は全てペアガラスと断熱構造のサッシに取り換えられる。エアコンは全て省エネ仕様のものに交換される。また、インターネットを使ったテナント毎のエアコンや照明の制御と電力使用状況の「見える化」等のグリーンビル化が行われている。この改築の設計と施工を請け負うジョンソン・コントロール社は、各テナントに対してグリーンビル化により節約されるエネルギー料金を見積もり提示し、実施後それに達しなかった場合には差額を補償すると言う契約を結ぶと言う方法で、グリーン化を促進している。
アメリカでは世界平均と同じく全エネルギー消費の40%が建築物によるものであるが、ニューヨークのようなビルが密集した大都会ではその割合は大きく75%である。ニューヨークの商業ビル全てがグリーン化すれば年間400万トンのCO2排出量の削減となり、これは石炭火力発電所約2基分である。
エンパイアステートビルのマーキン(Malkin)社長は歴史的建造物を改築する事で達せられる省エネが既に改築一年目で効果が証明された事は意義が大きい、世界の大都市にある非効率な古いビルの何億平米が全てグリーンビル化されることで、省エネ、エネルギーコストの低減、快適な職場環境の提供、グリーンビル保全の為の新たな雇用の創出に貢献できるとしている。
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