「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定の見送り
2011年度までの日本の再生可能エネルギーの発電量は1,945万kWで総発電量2億3030万kWの8.4%であったが、本年8月末までに130万kWの新たな再生可能エネルギー、主に太陽光発電が加わり、本年末までに更に250万kWが増設の予定だと言う。低迷していた再生可能エネルギーが俄かに増え始め本年末には2324kWとなりやっと10%を超える。これは電力買い取り(FIT)が政府に依り決定されたからである。FITは東北大地震の2011年3月11日の午前中の閣議で菅内閣が閣議決定したもので不思議な因縁を感じると共に閣議決定と言うものの重さを感じる。
昨日、野田内閣は2030年代に脱原発と言っていた「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定を見送った。その前に原発村出身者で固めた原子力規制員会の人事決定については国会の同意を得ること無く例外規定により首相が独断で決定している。民主党の数少ない功績と思っていた原発関連の改革は野田首相の単なる選挙目当てのアドバルーンだった事になる。
これで、青森県大間と山口県上関で建設中の原発は枝野経産相の思惑通り建設続行となる。一体、原発立地の自治体にはどの位のお金が落ちるかと調べて見た。135万kW級の標準的な原発の場合、建設費は4500億円位であるがこれはほとんどは東京に本社が有るゼネコンや電機メーカに渡る。しかし調査開始からから決定に至るまでの10年間で391億円、運転開始後10年間で502億円が地元対策費に充てられる。更に運転開始後は電源立地地域交付金として20年間で545億円が、固定資産税が20年間で348億円が地元に落ちる。たいていの場合もともとは漁業を営む寒村であったものが急に潤沢な原発マネーで潤う。一度原発マネーの味を覚えるともう逃れる事はできない。まさに麻薬だ。
原発立地県からの圧力と経済界からの圧力の方が、世論調査で70%の人が脱原発を支持している事よりも強いと考えるのが現在の政治だ。がっかりした。
明日の官邸前デモは又、盛り上がることだろう。
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