異なる州毎の環境意識、しかし市民レベルでは着実な広がり
世界で最も自動車の排出ガス規制が厳しいのはアメリカ、カリフォルニア州であることは有名であるが、1970代のアメリカにあって、無秩序に電力の消費が増大することに、はじめて歯止めをかけたのもカリフォルニア州である。同州では州法により、省エネを推進し、その為に電力販売量が下がった電力会社に値上げを認めた。他州では「安い事は良い事」をモットーにエネルギー料金の値上げは認められていなかった。省エネの結果電力使用量が下がっているので、値上げは消費者の懐を痛めることは無かった。
このような州政府の政策により、カリフォルニアの省エネは進んで行った。図は、全米平均とカリフォルニア州の一人当たりの年間電力消費量の推移を表したもので、全米平均では上昇し続けているが、カリフォルニア州では電力消費が1970年代から横ばいであることがわかる。因みに一人当たりの年間収入ではカリフォルニア州はトップランクに位置している事から、同州におけるエネルギー生産性は全米平均の倍以上である事を証明している。
2009年になりオバマ政権はエネルギー消費の効率化を重要政策課題として、数々の法的規制や、調整が導入された。それまで無視を続けて来た京都議定書の内容にも歩み寄り、2009年にワックスマン・マーキー法が議会を通過している。この法律では、地球温暖化ガス(GHG)排出基準を設け、基準をオーバーしてGHGを排出した企業・団体には課税を決めており、連邦政府は初年度に800億ドル(6兆3千億円)の税収を予算計上している。
アメリカ政府としては京都議定書批准はしていないが、全米1000以上の市は京都議定書に準拠したGHG排出条例を制定している。
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