望まれる電力自由化と発送電分離
暑く長かった今年の夏もお彼岸を向えてやっと涼しくなった。原発を止めるとこんなに不便になるぞとの脅しにも見えた電力会社、政府、マスコミの省エネキャンペーンの効果があってか、動いた原発は関西電力の大飯の2基のみであったが、記録的猛暑にも拘わらず計画停電も実施されずに終える事ができた。昨年夏の計画停電騒ぎは単なる電力会社の危機管理能力の無さの為に起こされたと言う事の証明であった。
本格的な省エネが浸透してくると、電力使用量はどんどん下がって来る。ぼくたちが提唱するファクター5が実現すると電力は今の1/5で済むことになる。そうすると一番困るのは電力会社のはずである。一般企業であれば、産業構造の変化によってある事業の売り上げが大幅に下がる事は良く有る事で、その場合企業は規模を縮小して人員を減らし内部コストを下げる努力をするのは当たり前のことである。しかし、電力会社は日本を10のテリトリーに分けて、誰もがこの10社から電力を購入しなくてはならない独占が電気事業法によって認められている。また、コストが増えるとそれを電気料金にそのまま上乗せする事が許されている。電力会社は原価の4.4%を会社の利益として取る事が認められており、特に企業努力をする事無く毎年利益を出す事が可能となっている。
将来、電気の需要が減少した場合、電力会社は余剰設備を減らすことや、人員を削減すること無く電力料金を上げることで4.4%の利益を得ても良い法律なのである。
世界の先進国では電力の自由化はもう20年も前から普通になっている。発電と送電もそれぞれ別の企業が行っている。電力が自由化されると停電が起きる等と発言している評論家と称する人もいるが、2000年夏のカリフォルニアで起きた停電を指しているが、これは破綻した巨大エネルギー企業エンロンもからんだ事件であった事が分かっており、自由化されたら必ず発生すると言うリスクとは言えない。その他の国ではそんな事は起きていない。
電力が自由化されると自然と原発離れが起きる。それは原発のようなリスクを一企業が抱える事は許されないからである。
需要家は選択肢が増えサービス、電力源、価格など好みで選ぶ事ができるようになり、電力会社の経営姿勢、透明性、経営効率、持続可能性、社会貢献度(CSR)、企業モラル(コンプライアンス)等が厳しくチェックの対象となる。
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