小型火力発電所になり得る電気自動車
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド(PHEV)自動車を家庭の電源につなぎ、自動車を充電するだけでなく、逆に自動車の電池に蓄えられた電力を家庭の電源として使うと言うのが話題になっている。
一方、電力の分配をしている電力線網を賢くすると言うスマートグリッドと言うのも話題になる。スマートグリッドはアメリカで始まった言葉であるが、各家庭にある電気メータにコンピュータを組み込んで、消費電力を逐次中央に光ファイバー経由で報告をするのみでなく、ネットワーク経由で家庭の家電をスマートフォンやPCから制御もできる。オバマ政権は2009年に34億ドル(2700億円)の予算で国家プロジェクトを立ち上げ、GE、シスコシステム、グーグル等が参加している。中国では第五次5カ年計画に4兆円(50兆円)をスマートグリッドに充てている。日本では10電力会社が、日本は既に最高の技術レベルで送配電網はできているので必要ないと消極的である(これは全くの嘘である事は、311の後の計画停電騒ぎで馬脚を表した。)が、2011年に電力村嫌いの菅政権が予算を付けて5年間に4000万台のスマートメータを付けることが始まっている。
スマートグリッドが機能するようになれば、どの地域にどのくらいの電力需要が有るかを正確に把握ができ、データが集まればシミュレーションを行って精密な需要予測が可能になる。再生可能エネルギーの発電量予測や、工場等の大口需要予測を計算に入れて、需要と供給のバランスから電力の販売料金、買い取り料金を見積もる事も可能になる。家庭では安い時間帯に電気を買ってEVやPHEVに充電しておいて、高い料金の時に売電する事で設けることも可能になる。
ここで注意したいのは、PHEV自動車エンジンで発電して充電した電気を高く売る方が儲かる等と言う事には間違ってもならないような税法上の仕組みが必要な事である。それでないと、火力発電所に変わって自動車が発電所になるだけで、化石燃料の消費は火力発電所よりも大きくなる事は間違いが無いからである。省エネリバウンドのリスクはどこにでもある。
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