トラック長距離輸送を鉄道輸送に変えたドイツの国家プロジェクト
地球温暖化ガス(GHG)の23%は交通から排出されているが、その内35%が貨物輸送によるもので、この部門は年率2.3%で増加し続けている。
貨物輸送で最もエネルギー効率が良いのは鉄道輸送で1トンの貨物を1km運ぶのに0.09MJ(メガジュール)のエネルギーが消費され、6gのCO2が排出される。
船舶輸送では0.17MJ, 15gで、大型トラックは3MJ, 200gである。小型トラックでは21MJ, 1500gに跳ね上がる。
大型トラックで行っている長距離輸送を鉄道や船舶に変えれば、大幅なエネルギー効率の向上が期待できる。しかし、現状の枠組みでは容易ではない。トラックやけん引台車を鉄道や船舶で運ぶとトラック会社は鉄道や船会社から運送代金を請求されこれがトラック会社の経営を圧迫するので、現実的では無い。
この問題を解決する為に、ドイツではドイツ鉄道(DB)がトラック輸送大手のシェンカ―(Schenker)を買収して北はフィンランドから南はイタリアまでの長距離輸送部分を鉄道に切り替えた。その為に全地域に24のトラックターミナルを整備し、数分間でトレーラーでけん引されてきた台車を鉄道に乗せ換える事を可能にした。(写真)
その結果、1日に13,300の長距離トラック輸送が無くなり、300万個/日、240億トンkmの貨物輸送が鉄道に置き換えられた。これは、ドイツ鉄道(DB)にとっては重要な収入増となった。
この様な変革は、政府主導の貨物輸送とロジスティクス・マスタープランの策定により実現された。政府の資金援助と指導力なしには実現不可能であった。この計画を実施するにあたり、余剰となるトラック運転手の職場確保と、特別退職金等の処置が取られた事は言うまでも無い。このドイツの成功例を見て、フランス、英国、アメリカも同様の計画を策定中である。
DB-Schenkerの案内のURL:
http://www.logistics.dbschenker.ch/file/1415022/data/hang3.pdf
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