欧州には先進の技術が現存しているがなかなか導入できない日本の現状
最近バイオガス発電プラント会社の社長と話す機会が有った。この会社はオーストリアのグラッツに本社を置くBDIと言う会社である。欧州では何10と言う大型のバイオガス発電・バイオディーゼル製造・淡水製造・肥料(コンポスト)製造の複合プラントを設計・製造してきたトップメーカーである。文字通り廃棄物を資源に変える技術を持った会社である。
バイオガス発電と言うのは、その一部で食品残渣、家畜の糞尿、生ごみ、屠場残渣、都市し尿処理残渣等を発酵させてメタンガスを取りだしガスタービンを動力にして発電する。
2012年7月から実施されているFIT(再生可能電力固定買い取り制度)により、この市場は俄かに活気づいている事は言うまでも無い。
日本には各地にバイオテックタウン等と宣言をした都市が多数ある。バイオガス発電等のプラントは高価である為、各地に第三セクターや公共団体が公社や組合を作ってバイオマス発電、バイオガス発電を行っている。しかし、国内の規模は処理量で日量15〜100トン、発電量で60〜300kW程度と小さい上に副産物の利用は殆ど無い。オーストリアのBDI社の場合、処理量は日量150〜300トン、発電量は1500〜3000kWと桁が違う上に、処理量に対する発電量(ガスの発生量)が倍以上と効率が良い。バイオガスプラントは有る程度の規模が無いとスケールメリットが出ないのであるが、規模を大きくするには相応のエンジニアリング技術が必要となるので、一朝一夕には大規模プラントはできない。
既に技術の確立ができている海外からプラントを導入すれば、今のFITの料率であれば、キロワット当り40.95円で向こう20年間は買い取ってくれるのですぐにでも飛びつきそうなものであるが、ところがそうは行かないのが現状の様である。
当然、この類の団体には政府から補助金が出る仕組みが有りそこには必ずNEDO(新エネルギー開発機構)と言う経産省の外郭団体の影が見え隠れする。この団体は、その目的があくまでも国内産業の育成にあるので、国内の産業が海外の先進技術と同等の力を持つまでは、何とか海外からの技術が入ってこないように阻止する政策を取っていることである。国内のプラントメーカーが国際水準に達した時に、始めて門戸を開くのである。この団体は、過去に実にあらゆる分野でその様な働きをしてきた実績を誇っている。
それでも日本にはこのBDI社を応援している会社が有る。神戸に有るフィンテックと言う会社である。ここのURLからBDI社のリンクが有る。
http://www9.plala.or.jp/pfintech/
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