人類が自然から教えてもらうこと
ジャナイン・ベニュス(Janine M. Benyus)著 自然と生体に学ぶバイオミミクリ―、吉野美那子訳 オーム社から、
この本の中で、著者はバイオミミックスと呼ばれているバイオミミクリ―を研究開発する科学者達が考えていることとして次の様に紹介している。
自然界にはすでになされているものであり、それも、よりみごとに地球に負担をかけずになされてきた事実を、われわれは実感しています。人間が考案したもっとも精巧な建築の支柱や梁も、すでにスイレンの大葉と竹の茎にその特徴が認められ、セントラルヒーティングやエアコンは、常時三十度に保つシロアリの塚にはかないません。人間が発明したもっとも精密なレーダーも、コウモリのマルチ周波数伝達装置に比べたら制度が落ちます。そしてわれわれが新しくつくりだした「スマート・マテリアル」も、イルカの皮膚やチョウの吻とはくらべものになりません。かねがね人間独自の創造と考えられていた車輪は、最古のバクテリアの鞭毛を動かす微少なロータリーモーターとしてすでに存在していたことがわかっています。(略)
自然は太陽の力で動く。
自然は必要とするエネルギーしか使わない。
自然は形態を機能に合わせる。
自然はあらゆるものをリサイクルする。
自然は協力に報いる。
自然は多様性に投資する。
自然は地域の知恵を働かせる。
自然はおのずから過剰を抑える。
自然は制約の力を活かす。
これを読んで、これまで自然が30億年かけてやってきた事と正反対をこの200年でやってきてしまったのだとの思いを深くした。
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