まだ、パッシブハウスができていない1992年に建てた低エネルギー住宅
2012年12月12日の早朝にフランクフルトに到着し、電車でバイエルン州の北に位置する学園都市エアランゲン(Erlangen)に来た。10年ぶりである。ショッピングモールにスターバックスと世界中どこに行っても見れるものがここにもできていた。
友人の紹介でMr. Rathの家に向かった。彼は1992年にまだパッシブハウスの概念が定着する前に低エネルギー住宅を建てた。当時、低エネルギーハウスの論文が出されたのを読んで、建築家と話したがまだ建築例が無いとのことだったが、自分で書籍や論文を読み漁り、図面を自分で書いて建築家に見せて当時の建築基準に合わせてもらう為に修正をしながら1年掛けて設計をしたという。
窓は全て3枚ガラスにして、断熱処理されたサッシを使用している。使った材木はすべて製材所に特別注文して薬品処理をしていないものにこだわった。壁土も一切の薬品が混入していないものを選んだというこだわりようである。外断熱の構造で、熱交換率(U値)は0.14であると言う。家のリビングルームの中央にある石製オーブンには銅パイプがめぐらされてそこで暖められた温水で全戸を暖房しており、熱源はこのオーブンだけである。このオーブンでは薪をくべるが、その手間が楽しいと言う。
機密性が高いので強制換気システムが付いている。外気を一旦地下1.5メートルに敷設された直径6cmの金属管5本を通してフィルターと熱交換器を通して温めた後に室内に導入している。外が-10度の時でも地下を通ってきた空気は+5度になっており、それを熱交換器で室温にしてから取り込むので外気が室温を下げることはない。この家全体で、通常住宅よりエネルギーコスとが60%は少なく住んでいるという。もともと、制御機器の技師であるMr. Rathはプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)を駆使して高度に自動化しており、現在の最先端の省エネハウスに負けない。個人で低エネルギーハウスを建てるひとがいるほどドイツは省エネルギーには関心がある。
写真は、20年前の建設中の南側サンルームのところである。3重ガラスのサンルームの左側の建築中の壁は16cmの空間があり、断熱材が充填されている。
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