日常生活でいやでも高まる環境負荷に対する意識
ドイツで友人と話していると、ぼくが環境問題に興味を持っていると意識をしての事なのかも知れないが、エネルギー消費の話題が普通に出てくる。例えば車で走っている時に、この車の燃費はこれくらいで、今前を走っている車の燃費はこれくらいだと詳しい。20年位前には車の話と言うと、0-400m加速が何秒だとか、最高時速が260km/hだとか話していた事を思い出すが、現在のドライバーの興味はもっぱら燃費で、その次に環境負荷である。この車は150g/kmとか、あの車は120g/kmを切っているとかを話題にする。これは1km走ると何グラムのCO2を排出して環境に負荷を与えているかの値で、新車の広告やカタログには大きく表示されている。まだ日本では、車の環境負荷値を人が話すのを聞いたことがない。
ぼくの友人のキシッヒ氏(Mr. Kissich)は僕と同年代で定年退職者である。息子が結婚したときに増築して今は空いている160平米の住居を貸家として貸すのだと言う。その時に必要となるのが、エネルギー証明書(写真)である。この書類は専門の業者に頼んで作ってもらわなければならす、その費用は50ユーロ(5000円)である。頼まれた業者はその家やマンションの過去3年間のエネルギーコスト(電気・ガス・温水)をエネルギー供給事業者からしらべ、登記された建築物の面積で割って1平米あたりの年間エネルギーを算出して、この家、部屋はこれだけのエネルギー消費をしましたと証明するものである。
これは、2008年7月に施行された法律によるもので、家や部屋の賃貸借契約に必要な書類である。テナントや借主は事前に自分が借りようとしている家がどのくらいエネルギーを消費するかがわかるようになっている。不動産屋の資料にも提示が義務付けられている。
ここに示したエネルギー証明書の例では一番上のスケールの一番左が0でゼロエミッションで、一番右は最悪の400kWh/平米以上となっており、95.4kWh/平米のところに矢印があるのが、この例の家の消費エネルギーである。
このようにドイツでは日常の生活にいやでも環境負荷に対する意識を持たざるを得ないような教育的情報提供が行われている。
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