西欧文明とキリスト教とエネルギー依存型経済
下の写真は、現在翻訳作業中の「ファクター5」の著者ヴァイツゼッカー博士からのクリスマスカードである。訳すと『私はローマクラブの共同会頭として日本語版「ファクター5」の発刊を嬉しく思います。なぜなら、ファクター5はもとより「ローマクラブへの報告書」であるからです。』とある。委託されたぼくの責任の重さをずっしりと感じている。
今日は、キリスト教徒の最大のお祭りの一つクリスマス「聖霊降誕祭」である。正確には24日の日没から25日の日没までである。世界には22億人のキリスト教徒がおりこれを祝う。ちなみにイスラム教徒は13億人、ヒンドゥー教徒は11億人、仏教徒は4億人である。地球人口は70億人であるので、残りの11億人が無宗教であるのかどうかは定かでない。初めて会うドイツ人からは必ず日本でもクリスマスは祝うのかと聞かれる。それには「祝うよ、特にデパートはね。」と答える事にしている。君は、と聞かれると「ぼくは仏教徒だと答える。
これらの世界宗教が始められたころ地球はまちがいなく持続可能社会であった。エネルギー源は太陽のみであった。人々は太陽の運行と共に営みを送っていた。一日で一番日照時間が短くなる冬至は、人々に生命の弱まりを感じさせ、自然に対する畏敬の念を抱かせたであろう。冬至が過ぎると日々日照時間が長くなるのを感じるにつけ、生命の新たな息吹きが感じられる。一年の最も重要なお祭りには最適な日であったのであろう。キリスト教徒の智恵が感じられる。
200年ほど前に英国で起きた産業革命は、地底深く閉じ込められていた「禁断の果実」とも言える化石燃料を使う文明をもたらした。このエネルギー依存型文明がキリスト教をその基底に持つ西欧文明(西欧型経済)と共に世界に蔓延したことには異論は無いと思う。しかし、キリスト教会は19世紀に植民地で行われてきた自然破壊に対し声を上げる事は無かった。しかし、最近はかなり変わってきているようである。
2012年12月19日のフィナンシャルタイムズ紙にクリスマスを迎えるにあたっての異例の寄稿をしたローマ法王ベネディクト16世はその中で『資源を公平に分かち合い、弱者を助けなければならない。強欲や搾取には反対すべきだ。……つつましく貧しい馬小屋の光景から何を学ぶべきだろう。』と持続可能性社会への復帰を呼びかけていると理解できるメッセージを出している。
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