経済は元に戻せるが、壊された環境は元にはもどせない。答えは持続可能社会の建設
経済は人の営みである。経済の浮き沈みは世の常で、停滞する経済もいつかは必ず上向きになる。リーマンショックで再起不能かと思われたアメリカの経済は徐々に持ち直しており、デフォールトや経済の崖も必ず乗り越える事ができる。破産しかないとまで言われていたギリシャもEUの粘り強い援助で希望が見えて来たと見え、つい先だって格付け会社がランクを3段階も上げた。
日本の経済が悪いと言っても、ゼネストの様な国民運動が起きるわけでもないし、餓死者が出ることも無い。年末年始の連休には65万人が海外旅行に出かけると言う。アメリカの経済が上向きの兆しが見える現在、円は必ず下がり、輸出は増え、どんな無能な政治家が政権をとろうと来年は間違いなく景気は良くなる。
マネーがどんなに力を持ったとしても絶対に人知の及ばないところまで暴走する事はない。どんな投資家でも全て壊してしまっては、それこそ本も子もなくなるので、そうはならずにどこかで制御が効く。
しかし、地球環境はそうは行かない。過去200年の間に人類が化石燃料を掘り出して燃やし過ぎた結果招いた地球温暖化ガスの為に地球温度が2.0℃上がった。その結果として気象の狂暴化が進んでいる。大気中に放出されたCO2はもう戻す事はできない。経済活動とは違い一度壊された環境はもう元には戻らない。東電福島第一原子力発電所から放出された放射能も同じである。一度放出されてしまった放射性物質はもちろん長い半減期が経てば減少はするが、無くなる事は無い。除染作業をしてもその場所に有った放射性物質を洗い流したり、削り取ったりして別の場所に移すだけの事で、放射性物質を移動しているだけの事である。大量に海中に流れ出てしまった放射性物質が今後どのように移動してどこに現れるか、晩発性の人体被害についても結果がでるのには何十年もかかるだろう。
環境問題はそれほど、ぼくたちの生命に密着した大きな問題である。それゆえ、ドイツは憲法にあたる基本法に環境保護を条文に入れた。ドイツの環境大臣は首相に次ぐ重責である。国として真剣に環境保護に取り組んでおり、今はグリーン経済への移行を推進している。この流れは保守、革新を問わず変わる事が無い。
日本の新政権は地球環境保護やグリーン経済への移行については触れようともしない。京都議定書の第二約束期間からの離脱表明を見ても後ろ向きであることが明らかである。今回の選挙で地球環境保護を最優先課題として訴えた議員がいたのだろうか、ご存じだったら教えてほしい。
何度も言うが、経済はたかが人間の作ったものだが、地球(環境)はちがう。政治家には是非とも「ファクター5」を読んでもらいたい。
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