あー、きれい!が連発されるが、地球環境に思いを馳せる事はゼロ
昨日2013年1月2日午後9時からNHK BSプレミアムで放映された「ようこそ宇宙の特等席へ!地球周遊ナイトクルーズ」と言う番組を見た。
国際宇宙ステーションからNHKご自慢の超高感度ハイビジョンカメラが捉えた地球の画像を見せる番組である。JAXAの宇宙飛行士の古川さんが、自分のミッションの合間に撮りためた画像データは80時間以上であったと言う。その御苦労の集大成とも言うべき番組として作られたものと思う。
お正月であったので、両親と一緒に見た子供たちも多かったと思うが、地球環境保護への教育的観点が全く欠如した薄っぺらな娯楽番組になってしまっていたと感じるたのは、ぼくだけであろうか?
まず、夜景の美しさを見せてくれたのであるが、欧州と日本の都市部の光の強さは日本の方が欧州の都市に較べて格段に明るいはずであるのに、両者に大差が無いように見えた。撮影時のデータは残っているはずなので、それで明るさを補正すれば日本やアメリカの都市部の明るさが、欧州の都市部よりもかなり明るい事が分かったはずで、この夜間照明だけで18億トンのCO2を排出している環境負荷の大きな原因の一つだとのコメントも欲しかった。(小ブログ2012年3月17日参照)
東北の漁火がクローズアップされていたが、サンマ一匹当たりにかけた照明の為のエネルギーと費用も知らせて欲しかった。スタジオに持ち込んだ1kWの漁業用のタングステン灯を同じ明るさのLEDに変えると電力が1/6になり船一隻で600kW消費していたものが100kWになるとのコメントも欲しかった。ちなみに放送で使っていた照度の単位ルックスは現在は使われていない。
オランダのバラ栽培温室の夜間照明についても取り上げていたが、ただただ明るくその光が宇宙からも見えると言う驚きで終わっていたが、オランダ政府はこの栽培方法はエネルギー依存が大きく持続可能性に欠けると言う理由でエチオピアに移設する計画を持っている。エチオピアでバラ栽培をすると空輸しても費用は約半分、エネルギーは空輸燃料を含めても1/20以下になる事が分かっており、2025年までに全バラ栽培はエチオピアに移設することが決まっているが、それには一切触れていない。添付の表参照。
最後のアメリカのシェールガス・オイルのエピソードにいたってはまるで、シェールガス礼賛であった。シェールガス・オイルの採掘には中東の石油採掘に較べると数10倍のエネルギーが掛ることや、新たな化石燃料を燃やす事は新たな環境負荷を増やす事になり、地球温暖化を促進してしまう事になる事を知らせるべきであった。
苦労して撮影した古川さんからも地球環境保護のコメントが出されなかったのも大変に不自然であった。当番組に対する当ブログからの評価は落第である。
MJはメガジュール。1kWの装置が16分40秒(1000秒)間にする仕事量。 |