新しい建築物の方が省エネとは限らない理由
GreenBiz.com 2013-01-03 by SustainableBusiness.comより
つい最近竣工したニューヨークの7ワールドトレードセンタービルはLEEDゴールド認証を受けているが、その省エネ度はLEED省エネスコア74とゴールド認証の最下限である。それに較べて1930年の竣工で2000年に省エネ改築を終えたクライスラービルのスコアは84である。又、1929年竣工のエンパイアステートビルは2010年に省エネ改築を終えスコアは80になっている。
レトロフィットした古い建築物の方が最新建築よりも省エネ度が優れているのには幾つかの理由がある。
その第一は壁の厚さが厚く、窓の面積が少ない事である。外断熱と窓枠の交換を行う事で大きな断熱効果を得ることができる。第二の理由は入居するテナントである。最新のビルは大規模データセンターが設置できるように設計されている為に、巨大データを扱う企業が入って来ることである。これらの企業では莫大なデータ処理を休みなく24時間行っている。例えば7ワールドトレードセンタービルにはムーディーズのような企業が入っているが、古いビルに入っているのは、小規模の公的機関、団体事務所、弁護士事務所などが多く、巨大データセンターは無いのが電力消費が少ない理由である。
もちろん、まだ省エネ改築を行っていない1963年築のMetLifeビルのスコアは39であるし、1958年築のシーグラムビルのスコアは3であるが、これらのビルも近々省エネ改築が始まる。
この様にアメリカでは古い世代のビルの省エネ改築が新たなビジネスとなって来ている。アメリカの古いオフィスビルでは暖房の熱源には地域のスチーム供給会社から地下パイプで供給されてくるスチームをラジエータに流す方式で有った為に開か閉しか調整ができなかった。ぼくの経験でもニューヨークの事務所で冬に暑過ぎるとエアコンを入れていた事を思い出す。このようなエネルギー垂れ流し状態であったので、ずぶぬれの雑巾から水が滴るように省エネの効果はすぐに現れる。投資対効果がてきめんに出るので省エネビジネス=グリーンビジネスは成立しやすく、現在新しい市場が形成されつつある。省エネはビジネスになると言う事が全米に広がれば、エネルギー需要は大幅に下がり、シェールガス・オイルなどの新化石燃料へのニーズが下がる事が期待される。
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