ゲーテは1824年に今日の環境破壊に警鐘を鳴らしていた
昨日、東京の帝国ホテルで日本の経済三団体(経団連、商工会議所、経済同友会)が新年恒例賀詞交換会を開き、3000人の経営者が集ったと言うニュースが報道されていた。NHKの報道ではその中の48人の経営者に今年のキーワードをフリップに書かせてならべていたが、その中にただの一人もグリーン経済への移行や持続可能性を取り上げたものは居なかった。今の日本の経営者は、やはり4半期か半期の決算のことしか頭には無く、何を為すべきかを考える余裕はなく、世界の動向も目に入らないらしい。誠にがっかりさせられる。
ゲーテ研究の第一人者として知られるワイマール・ゲーテ協会顧問で作家のマンフレッド・オステン氏はゲーテが1824年に書いた論評のなかで、「畏敬の念が支配的になれば、現在そして恐らく永久に不治の病に伏せっている地球は、そのあらゆる病から救われる事になるだろう」と記しているとし、この頃盛んになって来た産業革命によって引き起こされるであろう環境破壊に対しすでに警鐘をならしていたとしており「しかし、我々は産業革命が始まって以来、おそろしいまでに地球を破壊しています。そこへゲーテが『緑のゲーテ』として、エコロジーの守り手としてやってくるのです。自然に対する畏敬の念を持って。」と語っている。(総合雑誌「潮」2013年1月号)
産業革命真っただ中に有って、既に今日の化石燃料汲み上げによる地球温暖化などの環境破壊を見通したゲーテの深い見識には驚かされるばかりである。
ドイツが憲法を修正してまで環境保護を国是にするには、このような思想が覆水としてドイツ国民の中に流れていたからではないかと思った。シェールガス・オイルやメタンハイドレートなど新たな化石燃料を掘り出す事を「エネルギー革命」などと持てはやし、浮かれている政治家、産業界、マスコミに騙されない為にも「ファクター5日本語版」を一人でも多くの人に読んでもらえるような本にする使命をますます感じている。
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