8人に1人が飢餓状態に有るのに、年間20億トンの食糧が廃棄されている
2013年1月11日のBBCの報道に、「年間20億トンの食糧が廃棄されている」と言うニュースがあった。この報道によると、英国では形の不揃いな野菜はスーパーの棚には並ばず棄てられていること、「2つ買えば2個目はタダ」などの販売方法で消費者が必要以上に購入し棄ててしまうからであるとしている。また、この報道によると同じような理由で世界で年間20億トンの食糧が廃棄されており、これは世界の食糧総生産量の半分にあたるとしており、ぼくも大変興味を持ってこのニュースを見た。
一方、FAO(国連食糧農業機関)が2012年10月に発表した資料によると、世界で8億7千万人が飢餓状態にあるとしている。この数字は1992年〜2012年の10年間で1億3200万人減少しているが、今でも地球の8人に一人は飢餓状態にあるのに関わらず、生産されている食糧と同量が廃棄されている現実は現在の経済の仕組みがまともでは無い証拠であるとの思いを強くした。
その後でBBC電子版を見ると、この報道に対し小売店の業界団体が反発を示している。この団体はEUが導入しようとしている「外見を理由に農作物を販売しない事に対する規制法」に反対で、ロビー活動を続けている。この団体によると、「2つ買えば2個目はタダ」は景気を喚起する働きが有り経済に好ましいとし、多量購入した場合の保存方法や加工方法に関する情報を提供しているし、このようなセール対象商品の外見品質基準は緩めているので、かえって廃棄する量が減っているとしている。また、同団体によるとスーパーは生産者と、連携をはかっていかに廃棄食糧を減らすかの努力を重ねておりBBCの批判は当らないとしている。また、BBCの言う20億トンは多すぎると指摘している。
BBCによると、実際にどれだけの食糧が廃棄されているかの統計資料は無い為に20億トンと言う数字は推定したものだと言う。因みに20億トンの食糧を生産する為に排出されるCO2の量は約10億トンで、年間総排出量の3%に匹敵する。
飽食の国アメリカでは年間13兆円が廃棄されており、それよりひどいのは日本で、食糧自給率が低い日本は年間5800万トンの食糧を輸入しているが、2200万トンを廃棄しており、金額になおすと11兆円が廃棄されている。世界の食糧援助は1200万トンであることを思うと日本人の「もったいない」は、いったいどこに行ってしまったのだろうか。
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