外断熱住宅は気密性が高いので、強制換気が必要
昨年(2012年)暮れに行ってきたドイツでは、外断熱の低エネルギー住宅は今や常識となっていたが、日本に帰って来て建築関係の人と話をすると、外断熱の断熱効果は認めるが、換気の問題が有るとの話題になる。
外断熱が何故低エネルギーなのかと言うと、建物の躯体は木造やコンクリートや鉄骨で作られている。これまでの日本の建築はほとんど躯体の内側で断熱を行う、内断熱である。建物の内側にグラスウールや発泡スチロールの断熱材を貼って、部屋を外気と断熱している。ところが躯体は外気に触れているので夏は暖かくなり、冬は冷たくなっている。特に鉄骨鉄筋コンクリートの集合住宅では顕著である。鉄もコンクリートも熱の良導体で熱を早く伝え吸収し、蓄熱するので、夏になり、何日も30度を上回る日が続くと、コンクリートは夜間にも冷える間もなく暖められ続けコンクリートそのものが30℃近くや以上になってしまう。その内側でいくら断熱しても躯体が蓄熱した熱が輻射熱で室内に放出され、その熱はルームエアコンで取り去るより他は無い。
友人の建築家が話していたが、外断熱工法の家屋では真夏でもまだクーラーが設備されていない現場でも作業者が暑い思いをせずに仕事ができると言う。それくらい外断熱は効果がある。外断熱と熱ブリッジの無い窓枠、３重ガラス窓や、赤外線カットフィルム等を組み合わせた低エネルギー住宅では80%(ファクター５)の省エネも可能である。
話しを換気に戻す。ドイツの友人宅でも外断熱にしてから、家屋の密閉度が上がり、室内空気が悪くなったので、強制換気の設備を導入したと言っていた。実際に見せてもらったが、空気の取り入れ口は庭に有り、簡単なフィルターが入った箱につながっている。そこから5本の直径3�儖未療乾僖ぅ廚吠�けられて地下1.5m程度を約10mの長さで室内の位置まで埋めてあるのだそうだ。地下1.5mでは真冬の外気がマイナス15℃の日でも+8℃、夏の30℃の時でも22℃位だと言う。家の下で5本のパイプは簡易型の熱交換器に繋がれている。熱交換器には冬は温水が、夏は冷水が流されており、外気は室内温度と同じにされてから、換気ポンプで室内に放出される。地下に埋設されたパイプを伝わって来るうちに空気は地下の温度になっているので、熱交換器の入り口ではすでに室温に近づいており、熱交換器は簡易なもので間に合う。
ぼくが見せてもらった日は外気温が-16℃であったが、熱交換器の入り口では5℃であった。地下を通っている間に空気は21℃も暖められていた。さらに深くパイプを埋設すればもっと効果を上げることができる。換気ファンも驚くほど小さなもので静かに回っており、吹き出し口の温度は24度の室温であった。この換気システム全体で数10ワットの電力しか使って居らず、運転もプログラムタイマーで時々行っているだけなので、僅かなエネルギーしか使っていないと友人は語っていた。
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外断熱と換気
