「高速、小型、大容量、高精度は時代遅れ」に気がつかぬ日本
家電各社が毎年発表する新製品のTV、携帯電話、その他各種の電気製品やガジェットは新機能を売り物にするのがほとんどである。その中で今年のCES2013では、それ以外に持続可能性と資源保護に着目した企業があることに気がついた。
従来は新製品と言えば高速で有ること、大容量で且つ小型であることが、重要な新製品開発のコンセプトであったが、省資源、長寿命、低電力消費の持続可能性をコンセプトにしている事が分かる製品を発表している企業がいくつかあった。
その最先鋒が韓国のLGとサムソンの2社である。サムソンのLED光源TVの55型と46型製品は、厳しいIEEE1680持続可能性製品基準に準拠しているとUL 環境基準(UL Environment)からゴールド認定を授与された初めての製品である。この認定基準にパスする為には、この製品そのものの省エネ、省資源性能だけではなく、製造段階における環境対策、企業の環境基準、原材料や納入業者の環境基準まで全てが審査対象であるために、サプライチェインを含めた企業グループ全体がグリーンである必要がある。
サムソンの競合であるLGはこのUL 環境基準以外に、アメリカ環境保護局(EPA)のエネルギースター・プログラムとカーボン・ファンデーションのカーボンフリー認定も受けている。LGによると、同社が2012年に販売した製品の75%はエネルギースターの最高レベル認定商品であったとしており、これらを購入したユーザーはその全体で年間150億円の電気料金を節約し、同時に9億トンの地球温暖化ガスの削減に貢献していると、同社は推定している。
このように韓国の2社はアメリカや欧州に増えつつある環境意識が強いユーザー層にターゲットを絞って製品戦略を練っており、世の中のグリーン経済化を先取りしていると言える。
それに較べ、日本のメーカーは未だに、高速、小型、大容量、高精度が売り物で製品のグリーン化にはまるで力が入っていない。韓国勢にはすでにソフト面で負けているところに、こんどはグリーン化で更に距離を離されるのは目に見えている。日本の開発者は日本国内の脱デフレ、売上アップ、復興ムード一辺倒に溺れてしまい、世界がグリーン経済へとシフトしつつある事が見えていないからでは無いだろうか。
ベトナムに原発を売り込むよりも省エネをお手伝いしますと言う方がずーっと受け入れられると思うが、残念ながら安倍さんにはそのセンスは無い。
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