オバマ演説に勇気づけられた全米の環境保護団体
Environment News Service 2013-01-21, Washington発より
2013年1月21日のオバマ大統領の就任演説は、選挙中には全く語られる事の無かった環境問題にはっきりとした方向性が示されたものであった。演説後の大統領報道官の記者会見では、選挙期間中には気候変動の事には全く触れられていなかったのに、何故か?とか、オバマ大統領はシェールガス・オイルを歓迎していたのでは無かったのか?と言う質問が出されていた。
Environment News Serviceによると、全米の環境団体はこの演説を受けて、オバマ大統領のアメリカ国民と世界に対する約束を嘘妄にすることが無いようにと即刻動き始めている。
アメリカの環境保護団体シエラ・クラブ(Sierra Club)の執行役員マイケル・ブルーン(Michael Brune)氏は「今日の大統領の、気候の脅威に対し対抗策を講じなければならないとする姿勢に勇気づけられた。アメリカが世界に約束している2020年までに2005年よりも17%のCO2排出量の削減をするとのコミットメントをまず達成しないことには、世界はアメリカをグリーン経済のリーダーとは認めないであろう。我々、210万人のメンバーは大統領の演説を実現する為に、環境負荷の大きな企業の監視、シェールオイル。パイプライン建設反対を進めて、アメリカを世界のクリーン・エネルギーのリーダーとして行く。アメリカには無限の可能性が有ることを、現実のものとして行く。」と述べた。
全米野生生物連盟の会長、ラリー・シュワイガ―(Larry Schweiger)氏は、「今回の大統領の演説は、我々が考え、常々心に思っていた事を表してくれている。我々は、子孫が脅威にさらされるであろうことを分かっていながら、目を背け続けて行く事はもうできない。これから子孫の為に行動を起こす時が来た。400万人のサポーターは2030年までにCO2排出を半分にするとの政策が実現することにあらゆる努力を惜しまない。この政策は今後、大統領が誰になろうと、どの政党が多数を取ろうとアメリカ人がアメリカ人の子孫の為に続けられるべき目標であるからだ。」と述べた。
大統領選後、調査会社ゾグビー・アナリスティック(Zogby Analystic)社の調査によると、オバマに投票した65%は「環境負荷に対する対策を講ずるべきである」とし、27%の「更なる科学的知見を待った方が良い」とする人達を上回っている。また、57%は「ハリケーン・サンディーのような気候の狂暴化は地球温暖化から来ており、それは人類の営みに起因している」と考えているとしている。
選挙期間中には気候変動の事に全く触れなかったのは環境問題は選挙に有利に働かないとの読みが有ったのであり、したたかな選挙戦略であった。オバマは最後の任期にあたり、大統領として歴史に残せる仕事として環境問題を選んだ。ブログ「ダンテの森」は、今後も日本のマスコミが無視し続けても積極的に取り上げ、アメリカのグリーン経済への移行を応援したい。
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