日本にもあったグリーン経済を指向する町――岩手県紫波(しわ)町
日本政府に先駆けてグリーン経済への移行を目指している町の事が、総合雑誌「潮」1月号に紹介されていた。
岩手県のほぼ中央に位置し盛岡市と花巻市に挟まれた人口3万4千人、24%は農地、60%は森林、自給率が170%の地方都市である。
この町には1988年に竹下首相がばらまいた1億円を使って掘り当てた温泉を利用した、「ラ・フランス温泉館」と言う施設があるが、この施設は太陽光温水パネル、太陽光発電、廃熱回収ヒートポンプシステム等を備えた低エネルギー施設で、必要なエネルギーの30%しか化石燃料に由来するエネルギーは使っていない。その為、3.11直後に鉄路、道路が分断され東北地方の資源供給がストップした当時にあっても、通常営業を続ける事ができ、沿岸の大槌町で被災した100人をこの施設で受け入れている。
この町は日本に環境基本法が施行された1933年に「ごみポイ捨て禁止条例」を全国で3番目に制定している。2000年には「新世紀未来宣言」で、紫波の環境を100年後の子供たちによりよい姿で残して行くと宣言しており、目標を2010年に設定して「環境・循環基本計画」が作られ、経済(Economy)、環境保護(Ecology)、地球を意識する(Earth Conscious)の3つの頭文字から「エコ3」と名付け、有機資源の100%循環活用を行う施設を2001〜2004に整備して、2010年には目標達成を宣言している。
畜ふんを処理して堆肥を製造し、「えこ3堆肥」として町内の農家に販売、製材所から出る端材、森林の倒木や間伐材から粉炭、木酢液を製造して土壌改良剤や堆肥発酵促進剤として利用、さらにペレットにしてボイラーやストーブ用に販売している。
現在駅前開発のプロジェクト「オガール」があるが、約10ヘクタールの町有地に木造3階建ての町役場庁舎、2棟の民間商業施設、57戸の住宅が建設されるが、建設するのは地元の大工、木材は町内産を用いて200年の歳月に耐える建築を目指すとしており、木ペレットで運用する温熱供給施設から暖房用エネルギーを地域供給し、化石燃料の削減を目指している。これらの事業は全て民間事業が行っており、第3セクター事業の予算・収支はホームページで公開している。
学校教育にも環境教育が取り入れられ「新世紀未来宣言」を副読本として、子供たちによる植林も進められている。町内には環境や福祉関係のNPO法人が16団体有り活動を行っている。
紫波町のホームページURL:
http://www.town.shiwa.iwate.jp/
|