都市部のエネルギー消費が気候変動に影響していると言う研究結果
カリフォルニア州サンディエゴ2013-02-05発(ENS)
カリフォルニア大学スクリップス海洋学研究所の気象学者Gung Zhang博士のチームの研究によると北半球に集中している大都市が排出するエネルギー(廃熱)が北半球の平均気温を1℃上昇させていると発表した。
これまで、北半球の温度上昇は、大気中のCO2濃度と気温変化の全地球モデルで行ったコンピュータ・シミュレーションの結果よりも上回っており、整合性が取れなく原因不明とされていた。
Zhang博士のチームはこれに着目して研究を進めた結果、化石燃料を燃やす事により大気中にCO2が増加するする事による温室効果に加えて、都市部から排出される廃熱が直接北半球の気温に影響を与えているとの仮説を立て、建築物や自動車が排出する熱量を問題視した。
大都市は、北半球の北米大陸の東西沿岸部、ユーラシア大陸の東西沿岸部に集中しており、この大都市部からの廃熱の総量は北半球の大気の流れに影響を与えるのに十分なエネルギー量を持っているとしている。2006年中に消費されたエネルギーの総量は16テラワットであったが、北半球にある86の大都市で消費されたエネルギーは6.7テラワットであった。
化石燃料を燃やす事により排出されるエネルギーの量は、地球が太陽から受けているエネルギーの量に比べてほんの僅かなものに過ぎないので、人類の営みが地球温暖化の原因とは言えないとの議論があるが、この研究結果は北半球の都市の限定された面積(地表面積の1.27%)から連続して集中的に放出される高い熱エネルギーによって北半球の大気に影響を与えているとする。建築物と自動車がその主たる原因であるとしている。
因みに、この研究は全地球的気候変動モデルを扱っており、従来議論されているヒートアイランド現象とは全くことなるアプローチをしていることが強調されている。研究の詳細は「Nature Climate Change」誌で2013年1月27日に発表されている。
この研究結果も「ファクター5」が目指す、建築や交通のエネルギー消費を1/5にしたいとする方向が間違っていない事を裏付けている。
原文URL:http://ens-newswire.com/2013/02/05/waste-heat-from-cities-has-global-climate-effects/
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