環境に優しいラウンドアバウト型交差点は欧州では常識
天竜下りで知られる長野県の南端に位置する飯田市はリンゴ並木の美しい街である。この飯田市と名古屋大学工学研究科が環境に優しい円形型交差点を導入した。
欧州では最近、このラウンドアバウトと呼ばれる円形交差点が積極的に導入されている。理由は環境負荷が少ないからである。信号は電気を消費する、日本全国には20万基の信号機が設置されており、少なく見積もっても60万kWの電力を消費している。これは原発半分以上に相当する。その上車がストップ・スタートする為に無駄な燃料消費が増える。信号機のメンテナンスにも費用が掛る。しかし、信号機は一基数百万円と高価で、信号6社と言われる信号機メーカーが独占する市場で彼らにとっては美味しい仕事が奪われる、有りがたくない話であるので、かなりの反対が予想される。ちなみに、パリの凱旋門は巨大なラウンドアバウトである。
以下は毎日新聞から。
毎日新聞 2013年02月07日 地方版より、
飯田市が、同市東和町の五差路信号交差点で昨年から進めていたラウンドアバウト型円形交差点10+件への改造工事がほぼ終わり、信号機を撤去し円形交差点として運用を始めた。同様の円形交差点は既に市内にあるが、国際交通安全学会によると、信号機を取り外し円形交差点に改造するのは全国初。
交差点中央に車が入れない直径13メートルの島を作り、その周囲に時計回りの一方通行の環道(かんどう)を作った。環道への進入は全て左折、環道から出る時も全て左折になる。ラウンドアバウト型は、環道を走る車が優先的に走る仕組み。この交差点では環道に進入する車が一時停止する。5日は信号を撤去し、島の部分を暫定的に赤いコーンとポールで区切った。
円形交差点は、信号がないため、停電の時も車がさばける利点があり、東日本大震災後に再評価された。また、速度抑制による重大事故防止▽五差路、六差路の制御も可能▽無駄な信号待ち時間の解消▽信号機設置・維持管理費削減−−などの利点がある。一方、交通量が多いと車をさばけない弱点もある。
市は交差点改造にあたり、逆送防止のため環道への進入路に角度をつける▽一時停止を促すため環道入り口路面に白い破線を描く−−などの事故防止策を図った。
プロジェクトリーダーの名古屋大大学院工学研究科の中村英樹教授(交通工学)は「電力に頼らない良いことずくめの方法。最初は戸惑っても2回目からは何の問題なく走れる」と話した。また牧野光朗・飯田市長は「環境文化都市のシンボルになる。飯田から全国に広げていきたい」と話した。
毎日新聞記事原文URL: http://mainichi.jp/area/nagano/news/20130207ddlk20040005000c.html
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