デフレ脱却とCO2排出削減のデカップリング(切り離し)ができない日本
2月16日は京都議定書発効記念日だった。2005年2月16日に前年に遅れていたロシアが批准した事で発効することになった。京都議定書は1997年12月、橋本竜太郎首相を議長に京都で開催された地球温暖化防止京都会議COP3で12月11日に採択された。
1997年当時は、地球の平均気温が「2℃」上昇するすると気候変動が深刻になると言う事自体が議論の対象であったが、それがやっと国際社会で認識されたのが京都議定書である。
削減目標はこれまでの排出量を勘案した上で1990年を基準として各国別に削減割当量が決められた。
-8% 欧州15カ国
-7% アメリカ(この数字を不満とし離脱)
-6% カナダ(同じく離脱)、ハンガリー、ポーランド、日本
-5% クロアチア
0% ニュージーランド、ロシア、ウクライナ
+1% ノルウエ―
+8% オーストラリア(離脱していたが、2007年に政権交代があり批准)
+10% アイスランド
であり、守らなかった場合には超過した排出量を3割増しにして次期排出削減枠に加える、また排出権取引の権利を失うなどの罰則を設けている。
現在、署名84カ国、締約国172カ国で合計で総排出量の63.7%であるが、特に排出量の大きい中国、インドなどは、産業化の歴史が浅いと言う理由で加盟していない。
欧州各国はEU内で各国が異なる目標値として欧州全体での目標達成をしようとしている。ドイツ、デンマークは-21%、英国は-12.5%など高い目標値を掲げてギリシャやポルトガルなど達成が難しい国を補てんしている。
発効後8年経つが、2012年のUNEP(国連環境計画)の報告書によれば、2020年に「2℃」とするには現在既に排出量が80〜130億トン超過しており(地球全体で現在年間約300億トン)、このまま推移すると2020年には「4〜6℃」の平均気温上昇となる可能性がある。この温度上昇は地球上全ての地域で大きな気候変動の影響を受ける。
日本の削減目標6%は途中2007年には+15%となり達成が危ぶまれたが、リーマンショックの影響で2009年には大幅に下がり-4.1%となった為に、第一約束期間の目標は達成したが、2013年からはじまる第二約束期間からは原発が使えなくなった事を理由に離脱している。
日本では産業界を中心に世界有数の環境対策を実施してきたのに-6%の削減目標が高すぎたと言う論調が目立つが、国民一人当たりのCO2排出量(環境フットプリント)は国際的には大変高く-6%は決して多くは無い。重工業が占めるCO2排出量の割合は12%で例えこの分野で環境対策が進んでいてもその他の、建築40%、交通23%、農業18%などは手つかずのままである。欧米では一番大きな分野の建築に重点を置いて省エネビジネスが進められている。
日本ではデフレ脱却が最重要課題でその為にはもっとエネルギー消費が必要であると言わんばかりの産業界とエネルギー業界の考え方が、3.11以降原発が使えなくなったので、化石燃料の使用が増えるのはやむを得ないと言う風潮が省エネへの力を弱めている。
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