UNEP国連環境計画が2013年次報告書緊急版で世界に警告
2013年2月18日UNEPは緊急版として78ページの年次報告書を発表したが、あいかわらず日本のマスメディアは全く取り上げる様子が無い。
UNEPの年次報告は今回で10回目となるが、今回は特に北極海の氷が急激に減少していることを重点的に取り上げている。その他、化学的リスクが減少していること、アフリカゾウとサイが乱獲されており生物多様性に影響を与えている問題、増大する都市環境問題への挑戦、短期的な公害問題について取り上げている。
北極海における著しく急速な氷の減少について警鐘を鳴らしている。2012年の北極海の氷の量はこれまでで最小を記録した。(写真参照) グリーンランドを覆っていた氷は2012年7月には97%が溶けてしまっている。
北極海の温暖化は生物多様性に大きな影響を与えている。北極海の植物相、動物相はいずれも大幅に減少しており、特に海洋哺乳類への打撃は大きく、絶滅危惧種が増大している。これまで北極海には見られなかった魚類の存在が認められはじめ地球全体の食物連鎖、生物多様性に大きな影響が出始めている。
この地域の気温は世界の気象に大きな影響を与え、海流にも影響を与えている。数百万羽単位の渡り鳥の移動経路が変更されこれまで通過地点であったところの動植物に影響が表れ始めている。
ツンドラの凍土が溶けはじめこれまで閉じ込められていた大量のメタンガスが大気中に放出されている。メタンはCO2の25倍の温室効果を持っており、今後の地球温暖化を更に加速する。
UNEPがこれまで出し続けて来た警告にも拘わらず、世界は地球温暖化対策を経済危機からの脱却を理由に先送り、あるいは無視をしている。それどころか、北海の氷が減少している事をエネルギー産業や海運企業は商機と捉えて北海沿岸における化石燃料採掘開発や港湾施設建設をはじめて、更なる環境破壊を進めていると警告している。
先日、「エクソンはあなたの子供達を憎んでいる」と言うスポットコマーシャルを環境保護団体が流して話題になったが、ほんとうにエネルギー産業は未来の子供達が憎いのでは無いかと思いたくなる。UNEPに耳を貸す経済人は居ないであろうから、ぼくたちが声を上げて政治を動かすより方法はないと思う。
UNEPの報告書(英語8MB)は次のURLでダウンロードできる。
http://www.unep.org/pdf/uyb_2013.pdf
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