ダンテの森    
23 Feb 2013 07:31:17 pm
スペインの電力事情
風力が27.3%を記録、再生可能エネルギーが44%となった。スペイン

 もう20年も前のことになるが、スペインをドライブしていたときに、ジブラルタルを過ぎてカディスへ向かう大西洋に面した海岸地方に差し掛かった時に、稜線に巨大な風車発電機が忽然と現れ、それが何十、何百と出て来てそれは圧巻であった。その頃は日本では風力発電など夢の話であり、すでにスペインでは始まっていたのを自分の目で見て驚いた記憶がある。

 最新のフランスのエネルギー専門誌電子版ENERZINE.COMによると、スペインの送電専門会社REE(Red Electricia de Espana)が2013年1月16日に風力発電により345,011MWhを発電しこれまでの記録を更新したとの記事があった。これにより風力と太陽光パネルによる再生可能エネルギーが電力全体の27.3%となり、これはスペインの全世帯の家庭の電力を賄える電力量であるとしている。スペインの再生可能エネルギーはこの他、水力12.4%、地熱2.0%、太陽光電池発電1.8%、太陽熱発電0.5%があり再生可能エネルギーの合計は44%となっている。

 スペインは1984年に電力の民営化を行い、その時に電力の安定供給と安全保障を確保する意味から電力の送電専門に行うREEを設立した。REEは上場企業である。REEは全国の火力、原子力、風力、太陽光などの大小様々な発電会社から電気を購入し、全国に有る自由化された電力販売会社に販売している。電力需要の予測を行い、どのような電力ミックスが最も安定が得られ、経済的かを考えて供給元を細かく選ぶ事で企業としての利益を増やす努力をしている。また、余剰電力を他国に輸出するのもこの企業の業務である。REEは株主配当を続ける黒字企業である。

 スペインでは2009年に再生可能エネルギーが原発を上回り原発による発電の割合は40%から現在の24%に減少し脱原発の工程表が明確である。昨年から古い順に原発の停止を行っている。

 REEのホームページには、電力の状況が一目でわかるページがあり現在のスペインの電力使用量、とこの先数十時間の需要予測、供給電力ミックスの割合、CO2の排出量がリアルタイムに分かる。このグラフを見て、いつ電力を購入すると一番安いかなどを調べて電力購入を細かく調整している企業や家庭があるのだろうと思う。エネルギー企業の透明化は最も求めらる事でその意味からもこのような情報提供サービスは望ましい。

 スペインと言うとEUの中で経済状況が悪く問題児のように日本では言われているが、環境問題、エネルギー安全保障面では日本は足元にも及ばない観がある。1980年代から着々と再生可能エネルギー化を進めて来ている欧州の国々と、原発一辺倒でそれ以外には国民の目が行かないようにしてきた日本のエネルギー政策の差は大きい。

風力発電量の変化がリアルタイムに見える画面は次のURL(英語):https://demanda.ree.es/eolicaEng.html

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