グリーンビジネスの今後――自然の怒りに対応
2013-02-25 Green Biz.com Joel Makowerの記事より、
企業の持続可能性報告書には今までのところリスクと回復力について強調されているものは見当たらないが、干ばつ、洪水、ハリケーン、森林火災の度合いに変化が出てきており、企業やサプライチェーンを混乱させリスクに注意が払われるようになってきている。
世界中で気候の狂暴化は日常化しつつある。2012年に多くの企業にとって天候が持続可能性とリスクのマネージメントに多大な影響を与えた。その最たるものは2012年10月にアメリカ東海岸を襲ったハリケーン「サンディ」であろう。この熱帯性低気圧は2012年に地球上で発生した熱低の中で最も大きいと言うものでは無いが、与えた被害総額は桁外れであった。このクラスの台風がバングラデシュで起きたとしても、バングラデシュの人々には申し訳ない例ではあるが、被害総額は大したものにはならない。
サンディはアメリカ東海岸の最も人口が密集し、金融、商業、メディアの中心が集まっている場所を直撃したからである。サンディは高度に発展した富裕な国が事前にその規模もコースもかなり正確に予想する事ができたにも拘わらず多大な損害を被ると言う事を見せつけてくれた。道路、交通信号、病院、ガソリンスタンド、ユーティリティー等の脆弱性が露見したからである。これらは基本デザインから考え直す必要が有ることが分かった。サンディーから受けた被害から閉鎖、移転、改築などに必要な費用は数百億ドル(数兆円)と見積もられている。ちなみにサンディーが与えた被害総額は1千億ドル(90兆円)の大台を超えている。
2012年に全米48州の内56%の州で干ばつが発生しており、これは1950年以降で最悪の記録である。森林火災は全米で1千万エーカー(43万平方キロ)であった。日本の面積は38万平方キロであるので日本が1個以上消失したことになる。フィリピンでは12月の台風で30万人が家を失った。チリの中央部から南部にかけて異常な高温が続き自然発火した森林火災が50件以上発生し、数千人が避難している。ブラジルでは1000以上の町が干ばつとなり水戦争が起きている。ヨーロッパではこの四半世紀で最も寒い冬となり、ロシア、ウクライナ、ポーランドでは合計650人が寒さの為に死んでいる。オーストラリアでも記録の洪水が発生し数千の家屋が流失した。中国でも洪水の為に500万人が避難民となっている。
このように気候の狂暴化は進み続けている。各企業では持続可能性とリスクマネージメントを強化する必要性が高まり、その為の対策を強いられている。グリーンビジネスが期待される所以である。また、持続可能性担当役員などの人材も望まれており、今後のこの分野の重要性が増してくることは間違いない。
各企業の対応もさることながら、地球規模の問題は地球規模で取り組まなければ地球の怒りを緩和する解決策を見出すことはできない。
記事の原文(英語)URL:
http://www.greenbiz.com/blog/2013/02/25/state-green-business-sustainability-becomes-matter-risk-and-resilience
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