バイオミミクリ―開発を手助けする動物園の新たなビジネス
GreenBiz.com 2013-02-25 Kristine Wongの記事より
米カリフォルニア州のサンディエゴ動物園は2008年から産業のバイオミミクリ―開発の手助けをする事業を行っている。
ラリー・スタンバーグ(Larry Stambough)氏は2012年8月に、彼の40年にわたるCEOとしての経験を買われて、新たに設けられたバイオインスピレーションセンターの所長に就任した。
このセンターはサンディエゴ動物園のCFOのパウラ・ブロック(Paula Brock)により、バイオミミクリーはこれからの持続可能社会に向かうビジネスイノベーションには欠かせない技術で、世界的な規模と100年の歴史を持つ同動物園の持つノウハウがバイオミミクリ―の研究者、バイオミミック達に必ず役立つとの構想から、新たなビジネスユニットとして立ち上げられた。
過去5年の間にバイオ・インスピレーション会議の開催などを通じて、バイオミミック達の教育に貢献してきている。昨年8月に設置されたこのセンターはバイオミミクリ―開発を行う産業への技術移転を主業務にしている。
最近バイオミミクリ―で開発されている商品としては、蝶々の羽の発色構造を真似たスマートフォンやタブレット端末のディスプレイがある。これによりバックライトを暗くしても鮮明に表示することが可能で、電気消費を抑え、電池寿命を大幅に延ばす事が可能となる。
他には、鳥は窓ガラスに映る木に飛び込んでガラスを割ると言う事故が発生しているが、鳥は絶対にクモの巣には飛びこまないと言う習性を利用して、クモの巣パターンを人間には見えないが鳥には見えるように印刷することで、絶対に鳥が飛び込んで来ない窓ガラスができた。
また、鮫の体には絶対にフジツボが付かないことから、固まると鮫の皮膚の表面の構造を真似た形になるペイントを開発した。このペイントを船の船底に塗る事で、フジツボが着かなくなり、水抵抗が減り船の燃費が向上し、ドック入りの間隔が長くなって費用が削減される。
さらに、ビルの外壁用塗料が固まるとハスの葉の表面構造を真似るようにすることで、雨が降ると自動的に汚れを落とす、自動クリーニング型のビル外壁塗料が開発された。
バイオミミクリーで問題解決をしたい産業から開発者がその問題を携えて来る。例えば梱包材量を開発しているとして問題は、柔軟性と耐衝撃性であるとすると、問題を柔軟性と耐衝撃性に分けて、それぞれのテーマを動物園の生物学者、植物学者、動物学者にわたして彼らの経験からどの動植物の特性がマッチしているかを提案してもらいバイオミミックとディスカッションすることからプロジェクトがはじまる。
商品開発の段階では直面する数々の問題に対し、動物園の専門家達が動植物の持っている戦略を教えてもらいそれを問題解決の糸口にして行くと言う方法で開発を進めて行く。
ここで開発された技術は共同開発者として登録され、販売されるとロイヤルティーが支払われ、当センターの運営資金となる。
持続可能性開発には欠かせないバイオミミクリ―開発に貢献する動物園の新しいビジネスモデルである。
原文(英文)URL:
http://www.greenbiz.com/news/2013/02/26/business-biomimicry-happening-zoo
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