持続可能性ビジネスにおける新しい言葉
GreenBiz.com 2013-03-06 Andrew Steerの記事より
持続可能性(Sustainability)は経済業界用語として既に定着した感が有るが、どうもこの言葉のイメージには「社会貢献的」なものがつきまとい、企業の本来の目的からは外れ、優先順位としては低位に追いやられており、この状態は改革しなければならない点である。
今回のダボス会議では、多くの政府、企業、学術、市民団体のリーダー達が環境問題と水資源問題が世界の5つの主要リスクの内の2つであるとの共通認識を携えて自国に帰って行った新しい業界用語はリスクと回復力(Risk and Resilience)である。
気候の狂暴化と環境負荷の因果関係は既に世界の常識となった。世界最大の再保険会社であるミュニック・リ(Munich Re)は過去30年間で自然災害による被害額は北米で5倍に、アジア、アフリカ、欧州、南米で4倍になったと報告している。2012年にアメリカだけでも10億ドル(900億円)の大台を超えた災害が11を数えている。昨年のハリケーン・サンディはアメリカの人口密集地で商業の中心地を襲った為にその損害額は600億ドル(5兆4千億円)の被害をもたらしたが、これはアメリカのGDPの1%に達し、自然災害額としては過去最大であった。
水資源の問題も深刻で、各企業は水資源情報の収集に躍起である。世界で12億人が飲料水が手に入らない状態に置かれている。2025年にはさらに悪化し世界人口の2/3が水不足の影響を受けると予測されている。2012年に企業が渇水対策に出資した金額は2億ドル(180億円)で2011年度より38%増加している。
今後企業は自然災害の為に予定の年間売り上げが達成できなくなるリスクを考慮する必要がでてくる。そして地球温暖化対策にどれだけ努力をして行く必要がある。これらの点を投資家は鋭く見抜いて行く必要がある。
従来の経済アナリストの解析には環境問題が組み込まれていない場合が多いことを知るべきである。
環境対策、環境リスクを積極的に報告書に記載している企業を評価すべきである。
2013年3月6日に第12回中国全人代で温家宝首相は最後の演説を行ったがその中で「豊かさを追い求めるよりも環境を」とのメッセージを次の政権に引き継いだ。それを受けて多くの地方政府のリーダー達が賛同の意をしめしており、中国は「環境ブーム」が指導層の間で広まっている。これが全国に波及すれば、中国にグリーン化の波が来るかも知れないと期待が持てる。それを冷たく扱う日本政府とマスメディアは日本を環境ガラパゴスにしたいのだろうか。
原文(英文)URL:
http://www.greenbiz.com/blog/2013/03/06/new-language-sustainability-risk-resilience
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