ところ構わず、グリーンの美名のもとにプロジェクトを作りたがる日本企業
昨日、2013年3月21日東京都文京区にある文京シビックホールにおいて開催されたFoE Japan(フレンド・オブ・ジ・アース・ジャパン)主催の報告会「グリーンエコノミーの罠」に行ってきた。
メキシコでは33ギガワットもの風力発電プロジェクトが有ると言う。メキシコ南部、オアハカの風力発電の巨大プロジェクトは北米大陸の一番くびれた部分で年中風が強い地方だそうで風力発電にはもってこいの立地なのであろう、何百、何千の風力発電タービンの建設がこの地域に集中している。地元住民は賛否相半ばしており、地権者間の利害対立や不法な権利奪取など紛争が絶えていないようだ。
今回の報告は、その内の一つで建設費用800億円、396メガワットで三菱商事が33.75%出資するマルチナショナルプロジェクトについてであった。京都府の天の橋立(3.6km)を巨大にした全長27kmの湾口砂洲に200m間隔で132機の高さ80mの風力タービンを並べようとする計画である。現在、このプロジェクトは地元住民の反対派から裁判所に出された建設差し止めが受理されストップしている。問題は、地元の状況もろくに調査せずにプロジェクトを強行しようとしている企業の姿勢である。
二つ目の報告は、フィリピン・ルソン島北部のイザベラ州のバイオ燃料プロジェクトである。このプロジェクトは伊藤忠商事と日揮が70%を出資した、サトウキビからバイオエタノールを作り、絞りかすを燃やして発電すると言うプラントである。当然、広大なサトウキビ畑が作られる事になる。ここでの問題も地権者間の利害対立や権利証偽造の詐欺まがいの地権奪取などが中心となっている。
また、このプロジェクトは当初京都議定書CDM(クリーン開発メカニズム)を使った排出権買い取り制度を利用しようとしたものであったが、それがUNFCC(国連気候変動枠組条約)に認められないとなると、安倍政権が日本―フィリピンの2国間排出権取引で解決しようとしているという問題がある。また、サトウキビのモノカルチャーによる環境破壊の問題も大きい。
2つの報告の後上映された、バイオ燃料工場を題材にした中井信介監督のドキュメンタリー映画「空にとける大地」は、中井監督の人間愛がにじみ出た良い作品であった。
問題は、まず何かを建設する言う事であるが、ビッグプロジェクトには必ず大きな環境負荷が伴う事を知るべきである。ぼくたちの「ファクター5」ではエネルギー効率を5倍に向上させる事で、環境の負荷を減らす事を推進しているので、とにかく再生可能エネルギーを新たに作り出す事を目的とする、新エネルギー開発論には与しない。自分の家の前で風力タービンがブンブン唸るのを聞きたくは無いし、貧しい人の食糧を奪ってバイオ燃料を作るのにも反対である。いずれにしてもまやかしのグリーンを語るビジネスの横行は許されない。
しかし、何と言っても昨日の一番の収穫は、FoE Japanの若い皆様が頑張っておられる姿とそれを応援する大勢の聴衆がいるのを見て希望と勇気を貰う事ができたことであった。有難うございました。
FoE Japan のURL: http://www.foejapan.org/
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