化石燃料への補助金を停止すればCO2排出が減る--IMF
IMFプレスレリース2013-03-27より、
IMF(国際通貨基金)の報告によると、世界のGDPの2.5%、あるいは各国の国家予算の9%にあたる巨額の資金が化石燃料への補助金として歳出されており、その総額は1.9兆ドル(180兆円)になるとのことである。これまで、環境保護団体やシンクタンクが化石燃料への補助金を調査して発表していたが、その金額はさまざまで、調査の難しさを表していたが、今回発表された金額は過去の調査の3倍である。今回は世界金融の総元締めであるIMFの調査結果であるので、その意味は大きい。
開発途上国では燃料費を下げる事で消費を刺激し、経済発展をしようとしているが、化石燃料補助金への支出の為にインフラ整備事業への予算が削られる結果となりかえって国の発展を阻害している。化石燃料への補助金は、よりエネルギー依存度が高い生活をしている高所得者層を援助する結果になっている。
WWF(世界自然保護基金)のトップであるサマンサ・スミス(Samantha Smith)は「補助金の維持は世界のスキャンダルで、環境に対する犯罪行為である。環境保護への技術革新を進めてグリーン経済へ移行しようとする動きを阻害するものである。この補助金を直ちにやめてエネルギー効率の向上の為の技術開発に援助をするべきである。」と厳しく糾弾している。
指摘された1.9兆ドルの内、最大の国は米国で5千億ドル(48兆円)であるが、オバマ大統領は2013年の一般教書演説の中でこれを止めグリーン経済への移行の技術開発と市場形成に使いたいとしているが、野党共和党の反対が強く苦心している。
続くのは中国で3千億ドル(28兆円)、ロシアの1150億ドル(11兆円)であるが、これらの補助金は国内の石油製品価格を低く抑えることで、国内のエネルギー消費を活性化し経済の発展を促進しようとするものである。しかし、エネルギーの低価格政策は必ずエネルギー依存型の産業を振興し、エネルギー依存型社会を形成する。これは、経済発展はエネルギーの消費を必要とすると言う過去の既成概念から抜け出せていない経済政策にある。
すぐさま、各国は化石燃料に対する補助金制度を止めてその財源を省エネ技術の開発、グリーン経済への移行の為に使うべきである。
補助金は、貧困層よりもエネルギー依存の高い高所得層や企業を援助している事を知るべきである。
IMFのプレスリリース(日本語)のURL:
http://www.imf.org/external/japanese/np/sec/pr/2013/pr1393j.pdf
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