支持政党により大きく異なるCO2排出量――全米調査結果
2013-03-29 SustainableBusiness.com News
米国人はエネルギー政策をどのように見ているかと言う調査結果が発表された。
この調査によると、共和党支持州(赤)と民主党支持州(青)で州民のエネルギーに対する実際行動の差は大きく、一人当たりのエネルギー消費量は共和党州(赤)は民主党州(青)に較べなんと、55%も多かった。CO2排出量の差はさらに大きく赤は青を80%も上回っている。
その理由は、共和党州ではエネルギー効率に対する政策が非常に弱いか、ほとんど無い事にある。共和党州のCO2排出量がエネルギー消費分よりも多いのは、共和党州ではより質の悪い化石燃料が使われている結果である。低質化石燃料の使用により増加しているCO2は全米で4億5千万トンになり、これは全米のCO2排出量の8%に匹敵する量である。
それでは何故共和党州でのエネルギー政策は弱いのだろうか? その理由はこれらの州においては化石燃料関連産業の力が強いことにある。これらの州では草の根レベルでも、エネルギー政策については保守的で、変化を好まない傾向にある事に問題があり、問題の根は深い。共和党支持者の多くは経済発展はエネルギーが支えているとの考え方が強く、いかなる規制を伴う新しいルール作りにも反対である。
ギャラップ社の最新の調査もこの調査を裏付けている。
ギャラップ調査によると全米調査対象者の2/3はエネルギーシフトに賛成でそのシフト先は太陽光(76%)、風力(71%)、天然ガス(65%)への移行を望んでおり、石油(46%)、原子力(37%)、石炭(33%)からの離脱を望んでいることが見てとれる。
しかし、支持政党別の分類では、民主党支持者は太陽光がトップであるが、共和党支持者は天然ガスがトップとなっており、エネルギーシフトの意味にも大差が有ることが分かる。石油依存体質から離脱するべきとのオバマ政権の政策には共和党支持者の71%が反対である。また、民主党支持者の29%も反対している。石炭に対する考え方は共和党支持者は51%が、民主党支持者は21%が支持し、原発に対しては共和党支持者は59%が、民主党支持者は30%が支持している。
記事原文(英文)は次のURLで読める。http://www.sustainablebusiness.com/index.cfm/go/news.display/id/24721
以上は米国での調査結果であるが、大変興味深いのは州政府の政策がいかに現実にCO2の排出量に影響を及ぼしているかと言うことである。環境問題の解決に政治が持つ力の重要さを端的に表している。
安倍政権の環境政策は無いに等しく、米国共和党よりももっと保守的で、古典的としか言いようが無いので、これから日本のCO2排出量が大幅に増加する事は間違いない。
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