持続可能性と言う言葉を付ければ+イメージ――ドイツ
2013年4月4日付けのドイツのシュトゥットガルト新聞の記事を読んだ。同紙は、この春の見本市スケジュールを見ると、飲食業、アパレル、都市開発、観光、玩具、林業、建設業、化粧品、家具など展示会が並んでいるが、そのいずれのテーマにも「持続可能性」が冠せられているとしている。ヨガや宝石の見本市にまで「持続可能性」と書かれており一体どう結びつくのか、理解できない。なんでもかんでも「持続可能性」はいかがなものか、と批判的である。そして、この言葉を付ければ人を呼び込めるのであればしかたのないことかと、シニカルである。
そこで、東京ビッグサイトのホームページで4月3日〜6月30日までのスケジュールを調べて見た。全91のイベント・展示会のうち、5/21〜5/24に開かれるNEW環境展、2013地球温暖化防止展、スマートハウスEXPO2013と、5/29〜5/31スマートコミュニティJAPAN2013以外に、「持続可能性」や「環境」を冠した展示会は無かった。
ヴァイツゼッカー博士の近著「ファクター5」の日本語版出版が決まって以来、ぼくは新刊本が気になり新聞一面の下部に並ぶ新刊書の広告をよく見るようになった。ここにも「持続可能性」や「環境」はほとんど出てこない。本屋に行けば、平積みにはもちろんのこと書架にも、まず無い。
ネット上のキーワードランキングを見て見ると、Googleランキング2012の話題のニュースでは、1.オリンピック 2.尖閣 3.シャープ 4.iPhone5 5.橋本徹 6.iPad 7.北朝鮮 8.韓国 9.iPS細胞 10.サッカーであった。他のプロバイダーのキーワードランキングは、ほとんどが芸能人で埋められており、ネットで検索するのは芸能人名が一番多いようで、全く参考にもならない。当然、いずれのベストテンにも「持続可能性」や「環境」に関連するキーワードは無い。どうやら日本人にとっては他人事のようである。
今更ながら、ドイツ人と日本人の環境意識の差の大きさに愕然とすると同時に、ぼくたちが出そうとしている「ファクター5」日本語版の重要性を感じ、翻訳に力が入る。
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