津波に耐えたその土地本来の森を「瓦礫」で再生し、防潮堤とする
聖教新聞 2013-04-18の記事より、
横浜国立大学名誉教授で地球環境戦略研究機関、国際生態学センター長の宮脇昭博士(85)は40年にわたり世界170ヶ国で4000万本の植樹をしてきた、現場主義の植物生態学者である。
311の東北大地震の大津波では、コンクリート防潮堤や海岸沿いの松林はほとんど流されるか、内陸へ押し流された中、宮脇博士の指導で元来その土地にあったはずの樹木を植林してあった新日鐡住金・釜石製鐡所やイオン多賀城店の常緑広葉樹を主として作った森は、流されずに生き残り、漂流物を捕えて減災の効果を出していた。また、土地本来の木々が残る屋敷林や鎮守の森も堂々と残っていた。
これらの森は、高木、亜高木、低木、下草と言う多層群落を構成している。多様な植物が競争し、共存する植生のほうが、外圧に強い。(小ブログ2012-12-02参照)
日本列島はかつては大半が常緑広葉樹に覆われていた。やがて森は田園や都市となり、木炭にする為のクヌギやコナラなどの落葉広葉樹や、材木にするスギ、ヒノキなどの針葉樹の単植林へと置き換えられた。現存する原生的な照葉樹林は0.06%となっている。こうした森林は人間の管理を全て停止した場合には、数百年後には元の照葉樹林に戻るが、土地本来の潜在自然植生を調べてその幼苗を植林すると10〜20年で自然林が戻って来ると言う。
最初の3年程は草取りなどの手入れが必要だが、それ以降は木々どうしの競争の中での成長と自然淘汰に任せ、人間は手を加えない。メンテナンス・フリーである。
「いのちを守る森の防潮堤」構想は、津波で発生した膨大ながれきを資源として生かすものである。被災地の沿岸部に沿って幅30メートル以上の帯状に、深さ数メートルの穴を掘り、有害物質を除去して瓦礫を混ぜながら掘った土を埋めてほっこらとしたマウンドを造成して、南北300kmに9000万本の植樹をすると言う壮大な計画だ。
震災瓦礫の90%はコンクリートと木材なので、これを数10cmに砕いて土と混ぜると程良い隙間ができ、木質はゆっくりと生分解されて養分となり、コンクリートを抱くように根が張ることで安定が増す。試算によると、震災瓦礫を全て使ったとしても300kmの防潮堤で使う土の4.8%にしかならない。
宮脇博士に賛同!心から応援したい!
国際生態学センターのURL: http://www.jise.jp/
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