バイオマス燃料ハイテクプロジェクトは要注意
農業分野での再生可能エネルギーと言うと、まずバイオ燃料が頭に浮かぶ。酪農から出る畜糞尿からメタンガスを取り出して、燃料に使うなどは好ましい例であるが、少し前になるが、メキシコでそれまで地元民が主食にしていたトウモロコシがバイオ燃料用の種類に植え変えられ地元の貧しい人達の主食が不足したと言うニュースや、インドネシアに大企業がパームヤシの植林をする為に大規模な熱帯雨林伐採を行ったとか、アマゾンの熱帯雨林がバイオ燃料用のサトウキビ林に変わったとか、自然保護団体からはイエローカードを突きつけられている。
アメリカ・カリフォルニア大の研究チームは遺伝子操作を行った微生物にトウモロコシ茎やスイッチグラス(北米大陸に繁生する雑草)から作ったセルロースを食べさせてイソブタンを作るのに成功したと言う。イソブタンの特徴はエタノールとちがい、ガソリンとの混合比率が幾らでも良く、イソブタンだけでも自動車は走るので使いやすい点であると言う。これ以外にもカリフォルニア大バークレイ校では、遺伝子操作された大腸菌で同じくセルロースからブタンを製造する研究をしていると言う。
しかし、このような微生物を使ったバイオ燃料の研究にはリスクが有る事を忘れてはならない。
例えば、植物を食べて燃料に変える様な微生物が突然変異を起こし、世界に広まって全ての植物を食べ始めるような危険は絶対に無いのか。我々のコントロールが及ばない事態(福島原発事故で経験済み)になる事は無いのか、十分な検証が必要である。
ファクター5では資源生産性を5倍にすれば、資源は1/5で済み、豊かな生活を変える必要もないと提案している。そして、資源生産性を5倍にする、つまりファクター5にする為の技術は今、既に現存していると述べている。少しでも環境負荷を増やすリスクは犯すべきでは無い。正しく省エネをすることは新たに発電するのと同じ事である。
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