世界の淡水の70%を農業が消費
淡水は化石燃料に次いで重要な資源である。地球温暖化による気候変動は、乾燥地帯には干ばつを多雨の地域には洪水をもたらし、その傾向は年々ひどくなっている。世界の淡水資源の70%は農業が消費(7000立方キロメートル)しており過去50年で3倍になっている。だから農業での消費削減が決めてとなる。
パシフィック研究所のピーター・グレイク(Peter Gleick)が隔年で発行している「世界の水」(World’s Water)に掲載されたもので、どのような方法で農業における節水が可能かを述べている。
■正しい作物の選択: 気候や土壌に合った作物に転換することで50%もの水を節約する事ができる。畜産にも同様で、例えば乾燥した地方での牛の飼育は適さない。
■効率的な灌漑技術: 地表にパイプを這わせるだけの点滴灌漑でも十分効果が上がる事がわかった。後発開発国の貧困農家にも推奨できる。
■灌漑計画: 適正な時期に適正な量の水やりで17%の水の節約と8%の増収が可能。
■先進的灌漑技術: いろいろな方法、例えば水やりの中断を適正な時期に行うことで、30〜50%の水の節約と果実の大きさや糖度などの品質の向上が可能。
■雨水の貯蔵: 古来から雨水は溜池に溜められ灌漑用水として使われていた。雨水を集めるしかけを作り、灌漑用水とすることで、農業用水の消費を減らすことができる。
■都市排水の再利用: これは欧州では普通の事であるが、米国の研究で述べられている。都市排水を浄化して農業用水として使うことで、水道水の節約となる。
立地条件に合わせてこれらを組み合わせて実施することで、80%つまりファクター5の水資源効率の向上が可能となるとしている。同時に栽培システムは環境の変化に対して強くなることも述べている。その上決して少なくは無いポンプ電力の節電にもなる。
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