液化天然ガスで走る究極のエコカーフォルクスワーゲン Eco UP
Spiegel ONLINE 2013-05-03 Christoph Stockburgerの記事より、
フォルクスワーゲン(VW)はジョークが好きらしい。それでなければ説明が付かないのは、スポーツカー宜しく下部が扁平になったハンドルのデザインである。この車VW Eco UPにはスポーツと言う言葉は似つかわしく無い。アクセルペダルを踏み込んで車が動き出す時に、余りの重さに思わずパーキングブレーキを確かめてしまった程である。この車は環境負荷の低減をとことんまで追求するコンセプトでつくられており、その他は犠牲になっても仕方が無い。その結果電気自動車よりも環境負荷を少なく走ることが可能となった。
と、言うことで今回の試乗レポートでは普通ならチェック項目である、加速とか、エンジンの強さは忘れて掛ることになる。
まず驚くのは、僅か12ユーロ(約1500円)で満タンになることである。タンクに入れるのは液化天然ガス(LNG)で、11kgで満タンになり、これで275km走行できる。しかし、この車の目的は燃費を抑える事には無く、環境負荷を少なくする事に有る。
これを比較する為には、エネルギーの採掘から、輸送、加工、変換、貯蔵などシステム全体でかかる負荷を比較する必要がある。ドイツ環境省の発表によると、LNG 1kgから排出されるCO2は702〜1076gである。他方、ドイツの電力は再生可能エネルギーミックスでコンセントから供給される電力1kWh当り544gのCO2が排出されている。
VWの同型の電気自動車E-Upの場合、走行1km当り73gのCO2排出量である。それに対しEco Upに液化天然ガスを入れた場合は60gとなり、電気自動車を上回る。さらに、都市排水や家畜糞尿由来の液化バイオガスを入れた場合には、20〜30gとなる。液化石油ガス(LPG)の場合には94gとなり、ディーゼルと変わらない。
不便な点は、液化天然ガスを入れる事のできるGSがドイツには914ヶ所しかないことで、1万4千ある通常のGSに較べかなり少ない事である。将来、その数は増えることが期待される。ドライバーの不安を解消する為にEco Upには10ℓのガソリン予備タンクがあり、ガスを使いきると自動的にガソリンに切り替わり200kmは走行できる。備え付けのカーナビには直近の天然ガスGSの位置がインプットされており、ガスの残りが70kmを切ると自動的に表示される。
原文(ドイツ語)URL:
http://www.spiegel.de/auto/fahrberichte/fahrbericht-vw-eco-up-mit-erdgas-antrieb-a-897787.html
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