目標が全く書かれていない改正温対法が成立、鳩山国連宣言を正式に撤回
今朝の新聞各紙の報道によると、改正地球温暖化対策推進法が17日の参議院本会議で可決、成立したと報道している。一見すると地球温暖化に貢献する法律の改正が行われたかのような錯覚を呼ぶ見出しである。もとより、環境問題には興味が薄い日本国民はまた騙される。
参議院環境委員会は5月9日の川口委員長の解任問題で与党側の欠席と言う異常事態で開かれ、ろくな審議も行われていないはずであるが、昨日の参議院本会議で自民、公明、民主の賛成多数で可決された。
この改正法は、2009年12月に鳩山首相が国連で2020年までにCO2排出を1990年比で25%削減の目標を宣言して大喝采を浴びた国際公約を反故にする為の法律である。この法律が閣議決定されたのは2013年3月15日で、その翌16日の小ブログで書いたが繰り返す。
改正法案は、2009年より議論されてきた地球温暖化対策基本法案が、昨年、衆議院解散と共に廃案になったことに伴い、現行の温暖化対策推進法(温対法)の改正案へと変更され、2013年以降の計画を策定することを位置付けるためのものである。
しかし、法案には、2020年の中期目標のみならず、既に政府において閣議決定済みの2050年80%削減の長期目標すら明記されず、同日開催された、地球温暖化対策推進本部において、80%の温室効果ガスの排出削減を目指すこととしているのにもかかわらず、目標に関する文言はどこにも見当たらない。
また計画は、少なくとも3年ごとに見直しするとされてはいるが、計画には期限が明記されていない。さらに、附則で、平成27年(2015年)までに法制上その他の必要な措置を講ずるとされたが、国際的な新枠組みが合意される2015年まで何もしないと言うことにも受け止める事ができる。
今回の法改正では、これからの日本の温暖化対策の方向性も時間的な目標も明らかにしておらず全く環境問題に対する姿勢が見えてこない。
国際交渉の舞台では、2020年の現在の先進国の目標では不十分とされ、更に目標を引き上げる議論が進められている。2020年に目標を引き上げなければ、気温上昇を2℃以下に抑える目標の達成がほぼ実現できなくなるからである。今回の法改正は、こうした状況を踏まえ、日本が温暖化対策を行って行くはずのものではなかったのか。安倍首相は海外に対して自国を環境先進国などと吹聴しているようだが、大嘘つきとしか言いようがない。
政府は改正法の成立を受け、月内にも同目標の撤回を国連に通知する方針だ。各国から「嘘つき」とのそしりはまぬかれない。
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