現有の技術のみの低エネルギービル、62%のCO2削減を達成――鹿島
建設大手の鹿島が東京赤坂の鹿島KIビルを改修して低エネルギービル化を図ったことは当ブログの2013-05-07に書いたが、同じ鹿島が新築ビルで現存技術のみを使って低エネルギービルを建設した。
2013年5月21日付けの鹿島のプレスリリースによると、東京調布に2011年11月に新築された地上5階、地下1階、延べ床面積8914平米の鹿島研究所本館研究棟のエネルギー消費が同規模の従来型ビルより62%のCO2排出量削減ができたとしている。
同ビルは鹿島が2030年新築ビルのZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化に先駆けて2020年にZEB第一号を完成させると言う独自目標の一環として建設したものである。
特徴は、現有技術のみを採用して低エネルギー化、省資源化を図ったことである。
■ダクトレス空調システムとリモートパッケージの併用で、設備コスト、運用コストの両方の低減をしている。
■明るさ感演出のアンビエント照明により、自然光とLEDによる人口光のミックスの最適化を追求して低エネルギーで快適な明るさを得ている。
■OAフロアと天井の廃止で、コスト削減と同時に居住空間の高さに余裕をもたせている。
■フラットスラブと耐震壁構造で広い空間の確保。
■構造体をボックス庇型状の外装としたことで、自然光の採光と夏場の日光による温度上昇を防ぐ効果がある。
■再生骨材コンクリートの使用で、省資源化を図った。
■CO2の排出量の見える化システムの導入で、居住者の省エネ意識啓蒙を日常的に行うようにした。
■省エネビル第三者認証CASBEEの取得
今回のプレスリリースからは、断熱方式が外断熱になっているのか、気密度とQ値やC値についての記述は無く、熱交換器を使った換気をしているか等の記述も無いところから、あくまでも従来の日本のビル建設の現存技術のままでの低エネルギー化を図ったものと思われる。それでも62%のCO2削減が出来たと言う事には拍手を送りたい。これにパッシブハウスの考え方をプラスすればZEBの達成は間違いない。
今後、他のゼネコンからも低エネルギービルへの動きが有ることを期待したい。日本の建築物がファクター5を達成すればそれだけで、日本の全エネルギー量の32%が削減され、原発はおろかかなりの数の石炭火力発電所もいらなくなる。
鹿島プレスリリースURL: http://www.kajima.co.jp/news/press/201305/21a1-j.htm
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