米国マサチューセッツ州知事のグリーンビジネス戦略
GreenBiz.com 2013-05-24 Peter Kelly-Detwilerの記事より、
先週ボストンで2日間に渡り開催された、VERGE会議の基調講演を地元マサチューセッツ州のディーバル・パトリック(Deval Patrick)知事が行った。同州はエネルギー、情報、建築物と運輸の総合的な収斂(Convergence)によりグリーン経済への移行を実現する事業を積極的に進めている。
知事は、最初に同州が進めているグリーンビジネス分野の、3本の柱である教育、イノベーション、インフラの成長戦略について述べた。同州は、エネルギー・パイプラインの終点に位置している為に、中東情勢や気まぐれな市場価格によって大きく上下するエネルギー価格に振り回されるばかりの立場であった。同州はエネルギーコストの殆どを州外に支払っていた。
州政府は、エネルギー源の脆弱性対策を具体的な目標として取り上げ、グリーン化技術の開発とグリーンビジネスの推進を行って成功する事で、世界すべての都市がわが州の顧客になって行く事を目標にした。同州はエネルギー効率の改善において、これまで長年全米一位であったカリフォルニア州を追い抜いて一位となった。知事は2010年に再選された際に2017年までに同州の太陽光発電量を250MW(メガワット)にすると宣言したが、それを目標より4年早く2013年に達成しており、目標は2020年までに1600MWに変更されている。
同州では、オフショアの風力発電プロジェクトをスタートさせ、現在チャールストンで世界最大のブレードを持つ発電機を開発中である。これにより風力発電は2007年に比べ71倍となり、新たな雇用は30倍の7万2千人となった。
知事は、インタビューに答えて「私はもともとオイルビジネスに詳しく、表も裏も知っており、どの部分から改革の手を着ければ良いかを知っている。今、オイルビジネスの人達の中にはグリーン経済への移行がすでに始まっている事を敏感に捉えている人が大勢いる。ここにビジネスチャンスがあり、州としてそれに取り組んでいる。」と語っている。
選挙民の顔色ばかり伺うポピュリスト政治屋の多い日本の知事達とはちょっと違う。
[ ディーバル・パトリック ]
1956年生まれ。 シカゴのシングルマザーのもとで育てられた。父親はJazzミュージシャン。1974年ハーバード大に入り、この家系で初めて高等教育を受ける。1982年ハーバード・ロースクール卒業、法学博士。1983年ボストンのロー・ファームで弁護士となる。1994年クリントン政権のホワイトハウス人権担当弁護士となる。1997年ボストンに戻りロー・ファームでTEXACOやUAを担当。2007年マサチューセッツ州知事に当選。同州初めてのアフリカ系知事となる。2010年再選。1984年やはり弁護士のDianeと結婚。2人の女子を設ける。内1人は後にレスビアンであると公表。
原文(英文) URL:
http://www.greenbiz.com/blog/2013/05/24/gov-patrick-massachusetts-energy-policy
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