エベレストの氷河の後退は加速の一途――地球温暖化は来ている
ENS 2013-05-26ミラノ発の記事より、
日本では三浦雄一郎さんの80歳での登頂の快挙のことしか伝わって来ないが、現地のエベレストでは地球温暖化を心配する科学者が研究を続けている。
エベレストの氷河はこの50年間で13%縮小し、降雪限界は年々上昇を続けている。これはイタリア、ミラノ大学で博士論文を提出したネパールの科学者の研究論文からである。
標高8848mで世界最高峰のエベレスト山であるが、この降雪限界は50年間で180m上昇した。
スーディープ・タクリ(Sudeep Thakri)氏と彼のチームは1,148平方kmの面積のサガルマタ国立公園の氷河を1950年から2011年の間の衛星写真から解析しているもので、この地域の研究データとしては最長のものである。
解析結果は同国立公園の氷河の後退は年ごとにその後退速度を上げている事を示している。1平方kmに満たない大きさの氷河は消滅しつつある。そのなかでも最も早く溶けているものは1960年から今日までに43%が消滅している。その理由は、夏の間に溶けた氷河を補うだけの降雪量が無くなっている為である。一旦氷河のそこが現れ岩石の細かい破片が表面に出てしまうと、少々の降雪はすぐに溶けてしまい、氷河を形成するには至らない。このような表面は1960年から17%増加している。氷河の先端部の後退は、1962年から著しく400m後退している。
統計を見る限りにおいて、氷河の後退は産業革命以降に著しいが、地球温暖化と氷河の後退を関連付ける論証はまだ無いとしている。
エベレスト地方の降雪量は1990年からその減少速度が増しており、1992年以降、気温は0.6度C上昇し、降雪量は100mm減少している。
この研究はIPCCとイタリア政府の水研究所が援助をしている。
三浦雄一郎さんにはこれからマスコミへの露出が多くなると思うが、国民の関心がヒマラヤに向いている間に、地球温暖化が与えている現地の状況をマスコミで語って貰いたいと念願する。マスコミ自らそれを行う事は、まず無いからである。
原文(英文)URL
http://ens-newswire.com/2013/05/26/mount-everest-glaciers-shrinking/
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