中国が北京などで石炭使用削減を検討、数値目標を導入
Finance GreenWatch, Reuters 2013-06-06の記事より、
[北京6日ロイター] – 中国当局は、国民の不満が募る大気汚染の改善策の一環で、主要工業地帯での石炭消費量の削減計画を検討している。政策協議に関わった人物が明らかにした。同筋によると、今月発表予定の計画では、当局は中国北部の北京、河北省、天津に広がる高汚染地域に対し、2015年までに石炭使用を年間合計1億トン削減する目標を設定する可能性がある。
同地域の昨年の石炭消費量は3億7500万トンと推定され、中国全体の10%を占める。このうち、約3億トンは中国の主要な鉄鋼生産地域である河北省だけで消費された。
石炭の燃焼はスモッグや酸性雨の主な原因。石炭依存からの脱却は、急速な工業化を数十年続けた中国の大気や水質、土壌の浄化に取り組む決意を試すことになる。
中国政府のこれまでの汚染物質規制策は常に成功してきたわけではない。経済成長にこだわる地方政府が規制違反を見て見ぬふりをすることもあった。
国家発展改革委員会(NDRC)が運営するエネルギー研究所の上席研究員、 Jiang Kejun氏は、計画に盛り込まれる具体的な目標はまだ審議中だが、まもなく決定される見通しだ、と明らかにした。同氏は計画の策定に関わっている。
今年1月、濃い有害スモッグが北京など北部の工業都市を1週間以上覆った際、多くの市民が発電所や製鉄所など工業施設での過度の石炭燃焼を責めた。
新たな汚染対策計画ではこのほか、主要都市の鉄鋼業や汚染物質を排出する産業の設備拡張が禁止され、企業に対し排出抑制機器の稼働を義務付ける見通し。
政府はさらに、主要な製造業地域である珠江デルタと揚子江デルタでの石炭使用についてもそれぞれ5000万トンの削減を検討している。ただ、アナリストは、こうした削減量は中国のエネルギー消費構造全体を変えるには十分でない可能性が高いとみる。
中国全体では40億トン近くの石炭消費があり、消費は増加傾向にある。数値目標の導入は、地方政府の排出量隠し対策として有効に働くと思われる。今の中国の状況は60年代のカリフォルニア州、70年代の日本の京浜、中京、阪神、北九州の工業地帯、ドイツのルール地方の状況と似ており、大気汚染を発端に法規制が始まり環境保護へと意識が変わって行ったのである。中国政府は2012年に大12次5カ年計画で3年6ヶ月に30兆円を支出して対策を講じるとしている。(詳しくは、小ブログ2012年8月29日を参照。) 中国は真剣に取り組んでいると思う。
原文URL:http://financegreenwatch.org/jp/?p=31619
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