協同組合が電力生産から供給まで行うドイツの町村
今朝(2013-06-12 07:00〜)のNHK BS World Wave Morningで電力供給協同組合の事がNHKベルリン支局長の木村隆介氏の報告として放映されていた。取り上げられていたのは、ドイツ最北端の州、シュレスウィヒ―ホルシュタイン州の州都キ―ルの南に位置する、ホーニヒゼー(Honigsee)と言う人口475人/245世帯の村のバイオ電力協同組合とベルリンの市民エネルギー運動が取り上げられていた。
ホーニヒゼー村には、以前から民間のバイオガス発電所が有り、間伐材、トウモロコシの茎と葉、草などからバイオガスを作り、ガスタービンで発電をしていた電力を購入していたが、村はそれを買い取り協同組合にした。村の約50世帯が出資して組合を作り、組合長には村長のアレクサンダー・ニコライセン(Alexander Nicolaisen)氏が着いた。組合は営利団体であるが、利益は全組合員に分配される。
この組合では、第二プロジェクトとして発電機からでる廃熱を各戸に温水として配る事業を始めた。これにより、各家庭のセントラルヒーティングの燃料代が大幅に安くなった。その為の費用負担は各世帯20万円程度であったが、これまで燃料費を年間20万円掛っていたものが、9万円の温水代で済み出資金は2年と少しで回収ができると村民は喜んでいる。発電機も1台増設し、年間800万kWhを発電し、村で消費するのはその半分で残りはFITで売電している。
同村の第三のプロジェクトは太陽光発電であるが、現在協同組合で議論が沸いて居る。これを彼らはエネルギーの民主化と呼んでいる。これまでのような、エネルギー企業が利益を得る時代はドイツでは終わりに近づいているようだ。2011年現在全ドイツに586の電力協同組合が有り増加の一方である。
このような動きは小さな村での話だけではない、大都市ベルリンでも市民エネルギー運動が起きており、ベルリン市の配電を市民が買い取ろうと言う市民運動を率いているのは、ルイーゼ・ノイマン−コーゼル(Luise Neuman-Cosel)と言う女性だ。市民の反響は上々ですでに70億円が集まっているという。
このような動きが可能であるのは、ドイツでは1989年から電力の発電、送電、配電が分離自由化されていた為である。自由化後、電力市場は分離や再編や送電は4社に集約され国家の管理下に置かれるなど、紆余曲折を経て既に電力ビジネスそのものが、日本の様な電力村によるものでは無くなっていると言う背景が有る。やはり日本は20年以上遅れており、残念ながら隔世の感が有る。
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