富士山五合目まで、鉄道を開設 ――富士急社長、環境対策はドイツを手本にするべき
6月20日付け各紙の報道によると、富士急行の堀内光一郎社長が東日本旅客鉄道(JR東日本)の大月駅と河口湖駅を結ぶ富士急行線(総延長26.6キロ)を、富士山の5合目まで延伸する構想を明らかにした。21〜23日に富士山が世界文化遺産に登録されることを受けて、観光用鉄道として建設を目指す構想だ。環境影響評価などのハードルもあるが、現行の自動車道路より排ガスが少ないなどの利点もある。
鉄道が敷設されると、登山客の数は今とは較べものにならないくらい増加する。それでなくてもゴミの山と称されている富士山の自然環境を守る手立てが打たれなくてはならない。
ドイツの最高峰はドイツの南端オーストリア国境にある標高2962mのツークシュピッツ(Zugspitz)である。この山頂へはドイツ側のガルミッシュ・パルテンキルヒェンからアプト式の鉄道でトンネルを通って2600mまで上がり、そこからロープウエイを氷河を渡って頂上に行く方法と、アイプゼー(Eibsee)から一気にロープウエイで頂上まで行く方法と、オーストリア側からのロープウエイで頂上に行く3つのルートが有り、世界中からの観光客でシーズンにはごったがえすが、ゴミは無い。ちなみに山頂には一流レストラン並みの料理とサービスが提供される4軒のレストランが有り、企業のセミナー等も盛んに行われている。
高山の環境は低地よりもデリケートであるとの考え方から、開発当初から環境には細心の注意が払われている。
<水>は、上水道と中水道に分かれている。飲料などに使われる上水道は、毎日ロープウエイで運ばれ山頂に有る2.5トンの水槽に貯められている。トイレの水洗や清掃に使われる中水道は雨水と雪解け水が天水桶に貯められている。
<排水>については更に厳しく管理されている。全ての排水は頂上からふもとまで敷設された配水管でふもとの下水処理施設に運ばれ、処理後放流されている。
<ゴミ>については、まずゴミを出さない方法が考えられた。山頂で販売される飲食物には一切使い捨ての容器は使われない。つまり、ペットボトル、カン、紙コップ、紙皿等は一切使用禁止である。使われるのはガラスや陶器の食器で全てリターナブルである。それでも発生するゴミは分別されて、ふもとに運ばれて他の分別ごみと共にリサイクルされる。
<エネルギー>頂上は、太陽光線が強いので、太陽光パネル発電と太陽光温水器を使って、頂上施設の暖房を行っている。悪天候が続いた時のみ石油や天然ガスによる暖房が併用される。
鉄道を計画する時にはこのような環境インフラを、徹底的に整備するように監視をすべきである。
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