この人口過剰の状態は国際社会が「家族計画」の失策によるもの
Environment 360, 2013-06-24 Robert Engelmanのオピニオンより、
人口問題は、大変デリケートな問題を含んでいる。ドイツの環境学者、エルンスト・フォン・ヴァイツゼッカー博士の近著「ファクター5」を現在翻訳しているが、その中でも人口問題の解決策については、意識的に述べられていない。この問題は、宗教、教育、人権が深くかかわる問題であるだけに多くの難しい問題をはらんでいる。しかし、人口の爆発は環境負荷を高める事は事実である。
数週間前に2050年に90億人になると言う人類の食糧問題について、このオピニオンの著者エンゲルマン氏は論じたが、つい最近になって、この2050年の人口推計が変更された。最新の推計値は96億人となり、更に2100年には109億人となり、その後も毎年1千万人づつ増加するとのことである。これは先週発表された、国連が隔年に発表する世界人口統計の報告である。
この調査が興味深いのは、今回のデータが2010年に実施された国際人口調査に基づくもので、世界の地域毎の人口問題が浮き彫りにされていることである。
世界の中で最貧の地域と紛争地域の女性の出産が多い。これらの地域や国では、以前は行われていた家族計画の為の教育や、避妊具の配布が紛争などで、もう長年行われなくなっている。
わずか10年前のの国連の調査では2050年には89億人になるとの予測であったそれが、96億人と7億人も増えることになった。これはEUの人口と同じである。
出生力(一人の女性が一生に産む子供の数の平均値)を2002年と2012年で比較すると、アフガニスタン5.1→6.3、南スーダン3.8→5.4、東チモール5.7→6.5、ソマリア6.7→7.1、エチオピア4.8→5.3などとなっており、一様に増加しており、特にサハラ以南が顕著である。
世界の2/5の妊娠女性は、計画外であったとしており、開発途上国の2億2千万人の女性は、妊娠を望んではいないが、避妊の為の処置は行っていない。国連は家族計画の教育と避妊具の援助には81億ドル(8千億円)が必要としているが、予算はこの半分も集まっていない。国際社会はこの問題にも目を背けるべきだはない。
添付の図は、国連によるナイジェリアの人口予想カーブで何も対策を打たなければ一番上の曲線をたどる。また、このグラフはナイジェリアではあるが、他の最貧国・地域の予測値と同じ傾向を示している。
原文(英文)URL:
http://e360.yale.edu/feature/our_overcrowded_planet_a_failure_of_family_planning/2666/
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