アメリカ海兵隊の省エネ、再生可能エネルギー戦略
Yale Environment 360, 2013-06-27より、
先日のオバマ大統領の環境スピーチでも、軍の省エネ、再生可能エネルギ―について触れられていたが、今回は米軍の中でも最も秀でている海兵隊が開発している省エネ、再生可能エネルギーを最新のエール環境360(Yale Environment 360)が、取り上げていたのでそれを転載する。
先月モハベ砂漠で行われた海兵隊の戦闘訓練では、折り畳み式の太陽光発電パネルが使われていた。その他、ハイブリッド発電システム、個人用冷却システム、バックパックに組み込まれた発電システムなど全て実戦向けに開発されている。
現在海兵隊が装備している、コンピュータなどのIT機器は2001年から較べると、3倍になり、これらを輸送する車両の台数は2倍になっており、これらに供給される燃料の量も、コストも大幅に増加しており、納税者の負担となっている。
2年前に実施された海兵隊の調査によると、アフガニスタンでは物資補給の為の隊列50毎に1名の海兵隊の戦死者か重傷者が出ている。海兵隊の兵站業務の内70%は燃料と水である。
現在の前線1個中隊(125〜150人)は、2001年当時の1個大隊(900〜1000人)と同じ燃料消費が有ると言う。アフガニスタンでは300の前線基地で年間8億ドル(800億円)の燃料費が使われた。このうち60%はエアコン用であった。
前線基地の発電機は、基地の電力需用の最大値に合わせたサイズになっており、通常任務中は32%しか使われて居らず燃料効率が大変悪い。
そこで、開発されたのが太陽光発電パネル、蓄電池、制御装置を組み合わせたハイブリッド発電システムである。このシステムは、発電機の運転時間を最小にするように最適化されている。すでにアフガニスタンで実証済みである。今後の課題は折り畳み式の太陽光発電パネルの重量を50%軽減することとサイズを10%小さくすることで、3年後をめどに開発中である。
その他、海兵隊員が担ぐバックパックに太陽光発電パネル、振動発電機、浄水フィルター、無線機、バッテリーが装備された個人用システムが開発されている。バックパックと背負子の部分を分けて、特殊なサスペンションシステムで繋いで、歩く時の振動が直接担ぎ手に伝わらないシステムで海兵隊員の負担を軽くすると同時に、吸収した振動を電気エネルギーに変換する。歩行では35Wが、走行では40Wが発電できバッテリーに充電される。
そのうちに、一般人向けのバックパックも発売されるようになるかも知れない。
原文(英文)URL:
http://e360.yale.edu/feature/marines_push_to_front_lines_in_renewable_energy_innovation/2667/
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